昨日、保釈に特化した研修を実施した。
以前から「身体拘束問題」に特化した研修レジュメは作成済みであり、保釈特化の研修も経験はしているものの、ここ数年で見ても、自身の実践についても裁判実務の動向についても、相当に変化が生まれており、2~3年前のレジュメであっても手直し程度では使い物にならないと判断され、結局、新規書き下ろしのお披露目となった。
今後、更に改善を図れればと思う。

研修で取り上げたことだが、「条解」の変遷にも、興味深いものがあった。
折角なので紹介しておきたい。

「条解」は以前から、裁量保釈に「特別の事情」を要求するという前時代的な記述を残しており、これは最新の第5版増補でも変わっていない(いい加減にしろと思う)。
しかし、裁量保釈の余地に関し、条解第3版(2003年10月~これは私が登録2年目に購入したものだ~)が、例えば「1号に該当し、かつ実刑判決の可能性が極めて大きいような場合は、概して保釈は相当でない」として、1号に該当する場合は殆ど認める余地がないように書いていたものが、第5版増補(2024年7月)では、上記「特別の事情」論は維持しつつも、「1号に該当し、かつ実刑判決の可能性が極めて大きいような場合は、保釈が相当でない場合が多いが、その犯情に加え、身上関係が安定していることや、具体的に想定される罪証隠滅の余地、これが終局判断に及ぼす影響、被告人が罪証隠滅に及ぶ主観的な意図等がそれほど大きくないことその他の事情を考慮して、保釈が認められる場合もある」と、かなり記述を後退(前進?)させていることは目を引いた。

1号該当事案は、刑が重くなりがちと言えども、結局のところ審理に弊害をもたらさないなら保釈しない理由は無い。「特別の事情」論を維持する、おかしな書籍ですら、ここまで記述を後退(前進?)させている程、時代が動いている。
この流れを手放してはならないことは言うまでもない。

なお、くだんの研修であるが、会場参加20/ウェブ参加60あたりと聞いた。東京でも、刑事弁護系の研修では、多い部類なのだとか。多いかどうかはさておき、会場から活発に質問が出たので、講師としては有り難かったことを付け加えておきたい。質問が出ない研修は、手応えが感じられず、物足りないものがある。

(弁護士 金岡)