死刑判決の場合に、主文を後回しにすることがある、というのは割と知られている現象かと思うが、今回の話題はそうではなく、ごく普通の執行猶予が想定される事件でも、主文を後回しにする裁判官がおられる、というものである。

薬物の自己使用事件で主文を後回しにされ、魂消た、という話を担当弁護人から聞いていたが、その裁判官の事件(罪体に争いはなし)で、やはり主文を後回しにする言い渡しに遭遇した(結論は想定通り執行猶予付き有罪判決)。

おそらく、独自の工夫なのだと思う。
先に執行猶予だと伝えると緊張感を失い感銘力が弱まる、逆に、結論が分からなければ否応なく最後まで判決に耳を傾けざるを得ない、そういう思惑なのだろう。

個人的には、一つの工夫として肯定的に映る。
初見の弁護人は、ぎょっとするだろうが・・タネが割れても本人はしっかり判決に耳を傾けるようになるのではなかろうか。結論が気になって気もそぞろ、ということもあるだろうから、感銘力の程は分からないが。

(弁護士 金岡)