この問題を本格的に論じたいわけではなく、そうならざるを得ないだろうという雑ぱくな話題提供である。

最近、気付くと「準立会」が同時並行で5件である。明日はA警察に2時間、来週はB警察に2時間。そうこうしているとC警察にも2時間・・・E警察は被疑者が極度の体調不良なので当面の延期を御願いした。
と、このように、在宅で「準立会」を実践するだけでも、件数が重なると「しんどい」のが実情である。方針にもよるが、供述に応じる場合、往々にして2時間くらいは要するので、移動時間も含めると1/2~1/3日仕事であり、日程調整にも相当、苦慮する。しかし在宅であるから、ある程度は柔軟に、2~3週間に一度でも何とかなる。こちらの都合もきちんと反映される。
5件同時並行でも、なんとかなる範疇だ。

これに対し、取調べ立会制度が実現したとして、制度設計にもよるが、弁護人が週2回3回、毎回数時間、立ち会わなければならないとすると、果たして実践可能だろうか。例えば、ある勾留中の事件で、ごく控えめに、10日間に警察調べが2回、検事調べが1回あるとして、いきなり配点された被疑者国選弁護士が対応できるだろうか、と考えると、かなり困難としか言いようがない。
ましてや、社会的に注目を集める事件、までいかなくとも中規模以上の事件ともなれば毎日取調べ、ということもままある。毎日の取調べに一人で立会を続けるというのは、まず不可能である。

立会制度自体は不可欠だが、これを実現するには、第一に被疑者国選を2名体制にするなどの制度改革、更に、取調べの続く期間(現状では最大23日程度)、回数、時間帯についても大きく変えていかなければならないこととなろう(弁護人が「捜査官に素直にしっかり供述するように」みたいな、無益かつ有害としか言いようのない助言を行っているうちは、あちら側からの取調べ需要はなくならないだろう・・)。

立会制度に向けた流れが今後、止まることはないだろう。従って、立ち会いたい・立ち会わせないでもめるよりも、立ち会うことを前提に、現状で立ちはだかる問題を議論していく段階なのではないかと思われる。

(弁護士 金岡)