ようやく愛知県側の上告が棄却(及び受理申立不受理)され、接見国賠の認容判決(名古屋高判2021年7月15日)が確定した(最二小2022年5月20日決定、特に理由は付されていない)。

控訴審判決内容は、以下を参照されたい。
http://www.kanaoka-law.com/archives/1097

接見室が空いていない、留置管理所定の接見室以外は使えないと刑事課職員が言い張るために、初回接見を諦めざるを得なかったが、実は接見中の弁護人が「譲っても良いよ」と留置管理に伝えており、それがこちらまで(正確には刑事課職員まで)伝わらなかったという特殊な背景事情のある事案ではある。しかし、愛知県は、留置管理が刑事課に接見室の空き状況を伝達する等して情報共有するべしとする一般論が、警察実務にとって非常に好ましくないと判断したのだろう、税金を投じ、上告までして抵抗した。
今回の上告棄却決定により、上記の一般論が確定したので、今後、初回接見時に刑事課職員が客観事実に反して接見室が塞がっていると対応してしまった場合は、事情がどうあれ、警察側の義務違反を前提に処理すれば良いと言うことになろう。

事実上の予約制のある愛知県において、しかも接見室の空き状況を刑事課が調整するという初回接見特有の問題状況故に、このような問題が生じた、という側面は否めない。

しかし控訴審判決は、大本に立ち返り、「被疑者と弁護人の接見の重要性、特に、初回接見がその後の防御及び弁護の方針決定等において重要なものと位置づけられることに照ら」して前記の義務を導いたのであり、警察組織は、限定的な状況に置ける特殊な問題と片付けるのではなく、組織内できちんと情報共有し、可能な限り初回接見を迅速に実現するよう努力しなければ「違法」だということを、十分に銘記して欲しい。上告審にも愛知県の税金が使われたのだろうけども、このように警察組織に痛い教訓をもたらしたのだから、県民として納得できないではない、有益な使われ方ではあった

なお、議論は、更に発展させていく必要がある。
今回は接見枠の譲渡という特殊事情が決め手となっ(てしまっ)たが、本来であれば、接見室が塞がっている場合の初回接見の場の確保を、問いたい事案であった。
留置管理所定の接見室が塞がっていても、だからといって施設の都合で初回接見という憲法上の重要な権利が後退を迫られる理由にはならない。いかなる場合であれ初回接見を実現させるべく、施設管理上の創意工夫、体制を、要求していく必要がある。

(弁護士 金岡)