被害者代理人として事情聴取に同行すると、当然ながら同席を拒否されることはない(以前、これを嫌忌した検察官が被害者を共犯者と扱うと宣言して同席を拒否されたことはあるが、その事件は共犯者扱いされた被害者が検察官に反発したことも災いしてか一部無罪判決となった。傍から見ていて、自ら不利になるべく突き進んでいた検察官は滑稽ですらあった。)。
話を戻すと、同席し、調書もじっくり点検出来る。
被害者が忘れた話題は、外部に電話して補充することも出来る。
施設管理上、取調室では携帯電話は使用出来ないと言いながら、被害者側は自由に使える(被害者が存在する限り取調室ではないのだろうけど)。「ちょっと誰々さんにLINEで聞いてみてよ」と、取調官が被害者に御願いしてくるくらいだ。
証拠書類や証拠物を示され、「写真を撮って貰っても良いですよ」という厚遇。
公訴提起までの捜査記録は非公開だという大原則はどこへやら、である。
こうしてみてくると、弁護士の同席、電子機器利用、証拠の閲覧謄写、どれをとっても、被害者側代理人で可能なのだから、被疑者弁護人側で可能でない理由が見当たらない。被害者の保護や尊厳が旗印になるなら、被疑者の防御権も同等以上に旗印になる筈である。結局、被疑者の地位が憲法、刑訴法の理想とするようには全く尊重されておらず、軽んじられているという一言に尽きるのだろう。
(弁護士 金岡)