本欄本年2月22日「未決拘禁体験を聞く」で、「椅子も机もない」ことを、いの一番に取り上げた。
奇しくも同じ代用留置施設の依頼者から、机がなく地べたでやると、「ノートを書くのも体が痛い」「勉強に集中出来ない」という苦情があった。

却って部屋が狭くなるから不要、という人もいるかもしれないが、少なくとも机が欲しいのに使わせて貰えない、というのは、過剰な人権制約であろうと思われる(食べ物を地べたに置くことを強要するのは尚更であろう)。
簡易な折りたたみ机なら、場所も費用も無理なく人数分、用意出来る筈だし(少なくとも貸し出し用の机を複数個、用意することが難しいとは思われない)、贅沢品でもない。
そのように考えて、代用留置施設に改善方を申し入れてみたところである(差し入れて良いものがあれば差し入れますよとも伝えた)。

別の代用留置施設の被収容者にも取材したが、やはり机の備えはなかったというので、この警察署だけの問題ではないのだろう。愛知県警だけの問題だろうか。拘置所はどうなのだろうか。
刑事弁護をやっていて、被収容者の生活実態に関心を持つよう唱えていながら、この程度では看板倒れと反省する。

日弁連も、被疑者ノートを推奨しているのであれば、被疑者ノートを書くための机についても当然、気配りすべきだろう。

(弁護士 金岡)