わざわざ遠方から親御さんが相談にお越しになった刑事事件。

なんでも、国選弁護人に保釈を頼んだら、「被害者から保釈金を差し押さえられるからやめた方が良い」と言われたのだとか。
耳を疑うが、事実、請求すらしていないとなると信憑性がある。

更に、法テラスにも電話相談したのだとか。
すると、(同一被害者への連続3件の加害行為であるが)3件事件があるなら100万円×3=300万円はかかると言われ、私選にするのを断念したと。
いわゆる「容易に想到しがたい体験性」がある。

どちらも、俄に信じがたい話なのだが、残念ながら事実なのだろう。
このような水準の回答をする弁護士に仕事をさせるべきではないし、少なくとも刑事事件に関わって貰っては困る。

最近、高野隆弁護士が書かれた「国選弁護人を選ぶ権利」(四宮啓先生古稀記念論文集)を読んだのだが(正確には、読んでないと知られてしまい抜き刷りを頂いた)、その自然淘汰的に国選弁護制度が充実していく展望論があたっているかはさておいて、経験無い医師の手術を強要されるが如くの悲惨さは現実のことである。
とまあ、こういう直球ど真ん中で弁護過誤な「あるあるネタ」は枚挙に暇がないのだが、取り敢えず目にしたら本欄に書いておいて、悪くはないだろう。

(弁護士 金岡)