被害者代理人として特捜部の事情聴取に同行した代理人弁護士から、「同席はおろか、待合室で待機することも許されず、庁舎外の地べたで三時間、座って仕事をしていた」という愚痴を聞かされた。
本欄2022年1月7日で別の弁護士による類似の事態を報告し、その後、身構えていたが、幸か不幸か実地に体験する機会に恵まれなかった。他方で、被疑者調べの同行で一般捜査部に行くことは何度もあったが(最近ではつい先週も行った)、普通に待合室で待機していた。

さて、こうなると、特捜部だけが、代理人弁護士を片っ端から追い出すことをやっているということになるのだが、果たして同じ検察庁の一部組織だけがそこまで傲慢なことをやるのだろうか?

・・と、つい最近、特捜部が参考人として事情聴取を要請している案件で、なるほど傲慢だという事態に遭遇した。
特捜部が横柄に、口座履歴を持ってこい、2台目のスマホを持ってこいと要求を繰り返すのでたまりかねて代理人弁護士を立て、代理人弁護士を通して連絡するよう要請するも、特捜部の担当検察官(高木甫検察官)は、これを無視して依頼者に直接架電。依頼者から報告を受けて再度、直接連絡を止めろと申し入れるも、夕方から翌日午前までに9回にわたり電話攻勢をかける。
ストーカー紛いの犯罪行為はやめろと電話をすると(条解第4版補訂版571頁によれば、出頭義務のない者に不当な圧迫をかけて出頭させることは刑法193条の職務強要罪に該当すると説明されている)、傲慢にも「弁護士に話すことはない」の一点張りである。

B 「犯罪、違法行為はやめるという約束は出来ないのか」
P 「弁護士に話すことはない」
B 「代理人弁護士として適法に本人への回答を受ける権限がある」
P 「弁護士に話すことはない」
B 「本人としての電話と、代理人としての電話という民法の基本が分からないのか」
P 「弁護士に話すことはない」「電話を切っていいですか」
B 「よくない」
P 「トイレに行っていいですか」

こんなやりとりが10分は続き(全部録音しているので反訳しようと思ったが、余りに馬鹿馬鹿しいので止めた)、トイレ休憩を挟んで更に続いた。
トイレ休憩前後を通じ、職務強要罪から検察官の10の心得まで総動員して教え諭して漸く、「今後は依頼者に直接電話しないという約束はしない」という有り難い犯罪予告を頂いて終了した。

なるほど、特捜部の「特」は「特別に傲慢」の「特」なんだなと理解した一幕であった。
ともあれ、一般捜査部に比べて異常であり、検事正が、特捜部案件だけは代理人弁護士を追い出す庁舎管理権を行使しているとすれば正気の沙汰ではない。一度、国賠でもして法廷で御説明頂くほかないように思われた次第である。

(弁護士 金岡)