久々に接見等禁止の話題である。
近時、引き継いだ事案で、この時点で接見等禁止が付されたままであるため、いわゆる「手紙毎に本人申立」の遣り方で、本人が配偶者と遣り取りをしていた、という中での出来事である。

本人がN日に申し立てた配偶者宛手紙の一部解除が、処理されないまま放置されていると、本人が裁判所に苦情を申し入れた(申立に弁護人が関与しないので、弁護人には放置を気付きようがなかった)。
N+14日時点で、裁判所書記官から私に「説明」があった。
曰く、「N日から夏期休廷に入り、同日付け受理分は内容から緊急性がないということで、判断は夏期休廷明けでも良いという判断になり、本日、判断を行いました」という。

「なんとか正直」にも程があるというか、それはないだろうという内容である。
強力な国家権力により外部交通を厳しく制限しておきながら、「この手紙の限度で不当だ」という申立に対し、「急ぎでないから放置」とは、余りにお粗末な人権感覚である(本来であれば実名告発記事にすべきだが、後記の通り業務改善が図られたので、まあ罪一等、減じようということで匿名である)。
「釈明」ではなく「説明」というのもまた、無反省である。
私からは「擁護できる内容では無い」「身柄裁判には、その日の担当がいるのだから、係属審の裁判体が夏期休暇でも判断は可能ですよね」と指摘したところ、数時間を経て、「次回の夏期休廷では、民事部に代役をお願いすることになりました」という業務改善報告があった(大規模庁では無いのである)。

こういう次第で、図らずも業務改善が図られた。
本欄では良く取り上げることであるが、捕まえる方は24時間体制でも、外部交通制限の不当性を審査するには14日、放置しても良いという発想は、どこからくるのだろうか。放置するなら逮捕の方だ、とは言わないけれども、侵害する方は24時間体制で、緩和する方は14日放置、というのは逆だろう。
おそろしい人権感覚である。
書きながら、実名にするべきかなぁと何度か迷うくらい、おそろしい人権感覚であった。せめて自主的に改善を検討したなら救いもあったのだが、「説明」で済ませようとしたところがまた何とも、ひどい。

(弁護士 金岡)