新潟県弁護士会が2023年12月19日付けで発表したものである。
恥ずかしながら報道程度でしか把握しておらず、また、新潟県弁護士会以外では福島県弁護士会が2024年1月16日付けで発表したものがある程度(但しグーグル検索が信頼できることが前提)なので、弁護士業界では深刻に受け止めていないのだろうか。

内容的には、「特定国立大学法人」に指定された国立大学について、予算や決算、大学の方針、学長選考等に介入しうる「運営方針会議」の設置を義務付け、「運営方針会議」の委員選任には文科相の承認を要するとすることで、政府が大学の方針等に介入することになることへの警戒を呼び掛けるものである。
意見書では、近時の学術会議事件、古くは天皇機関説事件や滝川事件を引いているが、特に後二者は法律家であれば常識であるだけに、「いつか来た道」への回帰を警戒しなければならないとの論旨には全面的に賛同する。

例えば名古屋大学が「軍事的安全保障研究の取扱いに係る基本方針」を策定し、国内外の軍事・防衛を所管する公的機関からの資金導入や、軍事転用可能な研究へ、何れも強い慎重姿勢を示していることは知られているが、そのような方針の堅持を唱える人物を「運営方針会議」委員に選任することを文科省が一切承認しなければ(「そんなことはしない」というのかもしれないが、そのような約束を一方的に反故にしたのが学術会議事件である)、あっという間に軍事研究機関に堕しかねない。非常に恐ろしい事態である。

(弁護士 金岡)