国選弁護人から交代で受任し、(関係者の動きが鈍くて手間取ったが)ものの2週間くらいで逆転保釈に漕ぎ着けた案件がある。その顛末は別途、紹介したいと思う。

さて、若干手間取ったために第1回公判までに保釈金の納付が間に合いそうもないと判断し、(1)主位的に第1回公判で実質審理は無理なので打合せ期日への変更を求め、(2)予備的には、仮に第1回公判を維持するなら「手錠腰縄」姿を晒さないよう配慮するよう求めてみた。

(どこぞの松阪簡裁が異常に第1回公判の開催に拘るので)事と次第では(2)もあるかなと期待していたが、案の定というべきか、第1回公判期日が取り消され、打合せ期日へ変更されてしまった。
よくよく考えると、ほぼ否認事件ばかりの状況では、起訴直後に保釈を得るか、少なくとも相当期間継続する公判準備の間に保釈を得るので、「手錠腰縄」申し入れを試みること自体が殆ど無い。
今回も又そうなったというだけのことである。

この事件は、(少々驚いたことに)依頼者筋の方から文献付きで、保釈が間に合わない場合は「手錠腰縄」申し入れをやって欲しいという求めがあった。
大方の弁護士が(端から若しくは諦めて)申し入れないだろう(そして裁判所は凡そ取り合わないだろう)ところ、一般目線の人権感覚の方により厳しいものがある、ということは忘れてはならないと思った。

(弁護士 金岡)