本年10月28日、名古屋地裁で無罪判決を得た(薬事法違反被告事件)。確定したら本欄で取り上げようと考えていたが、検察官控訴が出たので概要しか触れられない。

事案は、いわゆる「危険ドラッグ」の営利目的貯蔵であり、争点は色々とあったが、裁判所の無罪理由は「本件ドラッグ(通称ジフェニジン)は薬事法の3号医薬品とは認められない」というものである(なお、通称ジフェニジンは、依頼者の摘発後のことであるが、薬事法上の指定薬物指定を受けているため、現在は指定薬物として規制されている)。

検察官控訴の認容率は7割を超えると言われる(少し古い風説だが)。
個人的にも芳しい戦績ではない。記憶にあるものとして、無免許運転の(略式から数えて4度目の事案で)原審の付した再度の執行猶予に対し検察官控訴が出て国選を受任(当時はまだ法テラスが設立されておらず国選を引き受けることができていた)するも、逆転実刑判決となったもの、また、数年前だが、原審無罪に対し検察官控訴が出て続投するも逆転有罪となり最高裁でも有罪判決が維持されたもの(おまけに、同種事件3件のうち2件は最高裁で無罪となり、うちだけが有罪という)がある。芳しくない、どころではない。
弁護士会では検察官控訴違憲論が根強いが、現場では出れば逆転することの方が多い扱いを受けている。どちらを向いているのかという根本部分で間違った何かがあるのだろう。

(弁護士 金岡)