和歌山地裁では、腰縄手錠の新運用が本年3月2日から開始されたとのことである。
おそらく法廷の構造との関係だろうが、法廷毎、支部毎に何種類かの運用が行われることになり、それぞれの法廷写真付きの資料が出回っている。
腰縄手錠については、原則的に衝立で、ということであり、これはまあ良い。
他方、着席位置については、「個々の裁判官の判断によるが、現時点における原則」としては隣という、よく分からない枕詞が付いている。衝立問題にはこのような枕詞はないし、大多数の法廷で常時設置になるのに、着席位置は差別化する理由は何なのだろうか。
また、新宮支部は、着席位置の原則を「長椅子」(弁護人席の前のベンチ、或いは所謂お白州席)とするそうだ。
おそらく新宮支部の法廷の広狭によるのだろうが、法廷の広狭を、弁護人の実効的援助を受ける機会に優位させる神経は理解不能。新宮支部の弁護人は、そのような法廷は忌避して抵抗すべきだろうし、幾ら狭くても横並びが不可能だとは思われないので、即刻、見直しを迫るべきだろう。そうでなければ歴史は繰り返しかねない。新宮支部は隣じゃなくても裁判に支障はありませんよ、みたいな抵抗勢力の芽は、予め摘んでおく必要がある。
これに対し、新宮支部以外の法廷では全て、被告人1名なら隣席だが、被告人が2名以上となると更に分岐し、本庁206号と田辺支部1号は、被告人2名から両名とも長椅子に回され、被告人3名以上となると全ての法廷で長椅子に回されるそうだ。
こちらも悪意がなければ法廷の広狭によるのだろうが、上記の通り、着席位置を隣とする理由を考えれば、法廷の広狭が理由にならないことは明らかである。「法廷が狭いので憲法上の権利を行使しないで下さい」と、大真面目に言う裁判所を、私は心底、軽蔑する。
本欄本年1月28日付け「歴史が動いた(腰縄手錠問題とSBM)」にも書いたが、問題がここで終わったわけではない。後退させない努力、定着させる努力が必要であり(裁判所からの事前準備連絡票に、着席位置の希望を聞く欄が新設されているので、「隣は嫌です」みたいな弁護人が登場しては目も当てられない)、早速、優先順位を取り違えた後退の兆しが現れている。
尤も、こうやって万機公論に晒してくれるだけ、和歌山地裁はましであろう。
地元、名古屋地裁となると、衝立は購入済みらしいが、弁護士会との協議も不充分、和歌山地裁のような資料(勿論、一方的に決めるのではなく弁護士会の了解の下に決められて然るべきだが)も来ない状況である。
(弁護士 金岡)

















