先日、本欄を御覧頂いているらしい方から、「事件数」記事を見ていますよと言われた。誰か向けの記事というより至って個人的な記録であるが、同業者には関心を持たれることもあるのかもしれない。
ともかく毎年決算期に事件数を数え、ついでに1年の事績を振り返る企画である。ここ2年ばかりは大幅に遅れてしまっていたが、今回はこの時期に掲載できる。

刑事事件(36)
捜査  11
一審  16
控訴  3
上告  1
再審  1
補償  2
少年  2

費用補償事件を刑事に計上するのはどうかという気もするが、それはともかく、捜査と一審だけで27件だから、ちょっとこれは多すぎる気がする。今年3月にバタバタと判決が出たが、夏に連日のように事件が増えたため、こんな具合である。ちなみに少年2件も、性質的に見ると刑事事件的であり、1件は勾留準抗告で釈放、1件は検察官立会で尋問に進む案件、どちらも調査官は絡んでいない。
準備段階で全体像を描き集中公判で一気に押し切る地裁事件には、やり甲斐がある。しかし現実には、(民事もそうだが)終盤戦あるいは控訴審から頼まれることも多い。一審16件のうち、約半数は、起訴後に就いていた弁護人と交代し、或いは追加で加わったものである。

行政事件(15)
国賠訴訟    11
その他の訴訟   1
訴訟前手続      3

本年に入り、3件、国賠請求が認容され、うち2件は確定した。が、気がつくと国賠事件が10件を超えている。警察、公安、刑務所、ついでに裁判所。問題は次々と起こるし、基本的に反省しない組織が相手なので、事件は減りようもない。
なお、こういう記事を見て遠方から相談を希望される方も多いが、完全に容量を超えるので、多くは、地元など適任の方に繋ぐか、電話で(事件の筋的に)無理だと回答するか、である。そういう対応だけでも結構な時間になるのも、悩みの種ではある。

民事家事(43)
訴訟      17
調停         3
それ以外    23

前述の通り、終盤戦あるいは控訴審から頼まれることが増えているという印象がある。
傍目八目とは良く言ったもので、概して、不本意な結果に終わるには不本意な結果に終わるだけの理由があることが、良く見えるものである。
自己研鑽のためにも有意義な機会であり、また、他の弁護士では得られなかった成果を己の才覚一つで逆転していくことが楽しくないわけはないが、控訴審の費用体系はどうあるべきか、というのが難しい。率直に言えば、原審記録を点検し、前代理人の問題点を洗い出し、方針を立て直して実行するということで、最初からやるより2倍の手間である。しかし、既に一審で費用を持ちだしている依頼者に、「2倍」とは言えない。勢い、前代理人から不手際の分、費用を吐き出して貰う必要がある場合も出てくるわけであり、そうなると手間暇は更にかかることになる。

(総括)
どうも最近は非常に仕事が増えていると思っていたが、昨年と比較すると、数字上は大きく変わっていないようである(一昨年と比べると明らかに増えている)。毎年、統計をとるのはやはり、興味深いものである。
さはさりながら、刑事事件がかなり負担増であることは明らかである。一昨年は、28件で限界をやや超えていると書いた。昨年は、数字は大幅増であるも動いていない捜査案件が嵩まししていると書いた。今回は、動いていない捜査案件はさほどなく、その上に動き出したばかりの案件が結構な数、加わっているのだから、近年でも最も負担が大きい状況だろう。

(弁護士 金岡)