最近、相次いで件名のような出来事が報道されている。特にコンビニエンスストアで万引き犯を掲示し、その後、本部の指示等で取りやめている、というのが複数。捜査機関が認知しない段階で「犯人」と社会にふれ回る行為と括れば、もとより刑事弁護的関心事であることは当然である。

刑事弁護を生業とする以上、この問題は私の関心を惹いたが、刑事弁護人的な感性は直ちに店側を「100%・黒」と判定し、それ以上、特に検討を深めはしなかった(これが今朝の段階)。

ところが、偶々ネットで見かけた弁護士ドットコムの記事がこの問題を扱っていたため、関心を惹かれ読んだところ、真逆の結論が下されていた。以下に、ヤフーニュースの配信する弁護士ドットコムの記事「「万引き犯です」コンビニ店内に防犯カメラ画像を貼り出し、どんな法的問題がある?」のURLを記す。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170209-00005682-bengocom-soci

要するにここでは、この問題の含む「法的問題」として名誉毀損の問題(のみ)を取り上げた上で、形式的には名誉毀損行為であるが、正当化事由が成立するかを検討し、(1)万引き犯の特定は周囲の店の関心事であり公共の利害に関わる、(2)万引き防止のためであれば公益目的である、(3)誰が見ても不審と思う行動が映っているなら仮に立証しきれないとしても真実と誤信するやむを得ない事由がある、と当て嵌める。
ご丁寧にも、担当弁護士は、「それくらいの見せしめは必要」「基本的にメディアの写真付き報道と同じに考えて良い」として「店側が法的責任を問われることはないと考えます。」と述べている。

一見、論理的に見えるが、私の感性は既に述べたとおり100%・黒である。
メディア的な関心事でもあるようであり(取材申込みも頂いたが、幸か不幸か、打合せが長引く間に流れてしまった)、関心を刺激されたため、項を改めて私見を述べたい。(その2・完に続く)

(弁護士 金岡)