昨日、(柄にもなく)犯罪被害者の付添で法廷傍聴をしていた。
被告人の発言内容など、気になった点をメモして、後から依頼者に説明しようとノートパソコンを使用していたところ、休廷時間に職員から「傍聴席でのパソコン使用はできないことになっている」「メモは紙とペンで御願いしたい」と声をかけられた。
「できないことになっている」と言われても、そんなことはどこにも書いていないし、メモを「紙とペン」でやれと強制される謂われもない。馬鹿げているので、謹んでお断りをしたところ、今度は裁判長から使うなと言う「指示」を受けた。掲示板によれば、指示に従わないと退廷や処罰があるということなので、しょうがないから退廷した。

下手人は、景山太郎裁判官である。

レペタ訴訟で確立した傍聴人の筆記記録の権利は、憲法21条の保障を受けるとされている。しかも、筆記行為が裁判を妨げることは通常ない、とも言い切られている。しからば、ノートパソコンで傍聴記録をとることの、なにが問題なのか。

さっぱり理解できない。

刑事弁護人としての私は、ノートパソコンが手放せない。理由は複数あるが、尋問時は証人の発言をべたうちし、反対尋問や異議では参照する資料とする。10年以上、そうやってきたが、別に裁判の邪魔をした覚えも無い。弁護人席から邪魔にならないなら、大きな法廷の一番後ろの傍聴席でのノートパソコンの使用は尚更、邪魔にならないだろう。
逆に言えば、景山太郎裁判官は、弁護人席でのノートパソコン使用を邪魔だと思いつつ、しかし、防御権に重要だからやむなく許容している、と言うことなのだろうか。今後、景山コートでは、弁護人席でノートパソコンを使用する場合、「法廷の邪魔にならないかどうか、御見解を頂いて宜しいでしょうか」と尋ねねばなるまい。

ということで、本日、国賠訴訟を起こした次第である。

(弁護士 金岡)