本日、名古屋高裁民事4部で退令訴訟の逆転勝訴判決を得た。
内容的にも見るべきものがあり、紹介したい。

まずは前置き。

在留特別許可に係る訴訟は、係属する裁判体の価値観で結論が大きく左右される分野の一つである。
名古屋地裁の場合、行政訴訟である在特訴訟は民事9部に集中するが、歴代の裁判長ごとに、規範から当て嵌め方まで、見事に特徴がでる(判決を見れば、この15年の、誰の時代の判決か、言い当てることができること請け合いである)。

そして、こと在特訴訟について言えば、近年の名古屋地裁では勝訴判決が出ていない。裁判所HPで指定して検索すれば分かるが、資格外活動の解釈認定が問題となった事案を除き、勝訴判決は先々代の平成22年12月まで遡らなければならない(もとより、掲載事例は全てでははない。掲載外で、先代の裁判長時代に2~3件の勝訴判決が出ている。)。
私自身、先々代、その前、更にその前の裁判体では勝訴しているが、ここ2代では勝訴判決がない(先代では遺族年金系の勝訴判決はある)。おなじみの陳腐な検討手順を見るたびに嘆息した(している)ものである。

ところが昨年、名古屋高裁民事4部が立て続けに原告側(つまり控訴人側)の請求を認容した。同じくHPに掲載されているだけで3件、更に報道されたものがもう1件ある。いうまでもなく、東京地裁時代「国破れて三部あり」と評された、藤山雅行裁判長の裁判体である。
特に期待していた控訴案件2件のうち1件が高裁民事1部、もう1件がこの高裁民事4部に係属したので、内心、非常に期待していたところ、本日、予想どおり、前者は棄却され、後者は認容された。

次のコラムで内容に言及していきたい(その二に続く)。

(弁護士 金岡)