加憲と言おうとなんだろうと、憲法を変えることには違いない、法学的ではないまやかしめいた言葉ではある。

それはともかく、9条に自衛隊の存在を書き加えて違憲論に終止符を打つというお題目である。自衛隊という言葉を憲法に書き加えたところで、違憲論に終止符は打たれまい。「自衛隊」という名前が問題なのではなく、その実質が問題だからだ。現在、自衛隊が保有している軍事力は、アメリカの軍事力評価機関の「Global Firepower」の順位付けで7位、海軍では世界2~3位という分析もあるそうだ。これでは自衛に最小限の範囲を超えて戦力を保持していると推定が及ぼう。もう少し露骨に言えば、自衛隊という名前なら核武装しても合憲なのか?という話で、理解は得られよう。

従って、自衛隊と加憲すれば自衛隊違憲論に終止符が打たれ云々というのは、取り合うまでもない馬鹿らしさである。

因みに、戦力としての実質を見る時、現在の自衛隊は違憲だと、私は思う。それは戦力としての実質を見ているから、憲法9条「3項」で自衛隊は合憲ですよと書いたところで2項違反である。災害救助等に果たす自衛隊の役割は立派かも知れないが、そのことと9条2項違反とは無論、別物である。自衛隊違憲論に終止符を打ちたいなら、「災害救助隊」のような組織を立ち上げ、その上で、純粋に武力のみとして存在する組織を作るかどうかから始めるしか無いと思う。

(弁護士 金岡)