愛弁の理事者室ニュース2019年度第5号を見て吃驚。
全件運動から「勾留延長決定は対象外」とのこと。

全文は「9月1日~11月30日まで、被疑者国選弁護事件(裁判員裁判を除く)において不必要と思われる被疑者の勾留決定(勾留延長決定は対象外)に対する準抗告申立活動を支援します。」というものである。
「不必要と思われる」には引っかかるが、まあ良しとして、「裁判員裁判を除く」も、今更どうしようもないので放っておくとして、「勾留延長決定は対象外」。制度設計当初から「一手続一適用」だとは聞いていたが、まさかの「勾留延長決定は対象外」である。

「やむを得ない事由」を要するはずの勾留延長が、原則と例外が逆転し、請求されれば素通りであることが知られている(少し古い数字で恐縮だが、以前、論文(成文堂「新刑事手続」所収の「被疑者の身体拘束」)を書いたときに調べた数字でいえば、“例えば平成24年度の司法統計を見ると、「起訴前の勾留延長及び再延長の請求の却下」は請求数約7万件に対しわずか1000件強を数える程度”)のに、弁護士会が準抗告を支援しないとはどういう了見なのだろうか?
幾ら考えても、正当化理由は思い当たらない。
唯一、考えられるとすれば、予算が足りないと言うことだろうか。
なんともはやである。

つい先日、少年事件の10日延長が丸々、認められ、もともと原則勾留しないはずの少年事件の、更に例外的存在である勾留延長が認められた結果、なんと勾留満期が日曜日という体たらくの事態に遭遇した(そして準抗告は棄却された)が、・・携帯電話データの精査や関係者総当たりに時間がかかるとしても10日以上は原則与えない、という姿勢を取るべきところ、裁判所は、時間がかかるならどうぞどうぞ20日間どうぞ、という姿勢であり、これを法の理想に引っ張り戻すのが弁護士会の役割の筈。
予算が足りないので、とりあえず「勾留延長決定は対象外」というのでは、弁護士会の看板が泣こう。言葉もない。

(弁護士 金岡)