年齢切迫少年の勾留延長に対する準抗告事案。
2件目の逮捕勾留で、1件目を処分保留にしたまま=家裁送致しないまま、恣意的に捜査機関の支配下に置き続け、勾留延長までされたことについて、問題視した準抗告を申し立てたが、敢え無く棄却された(20日目はなんと土曜日・・)。

この棄却決定に付言された部分に、「とはいえ、被疑者は成年切迫の少年であるため、前記余罪の捜査を含む所要の捜査を遂げた上、早期に本件を家庭裁判所に送致することが望まれる」とある(地裁刑事1部決定)。
この手の付言は、「違法とまでは言えないが、不相当だとは思うよ」という裁判所の忠言として、有り難く頂戴して活用に努めてきたものだが、他方で、言い訳めいていて腹立たしいとも思う。

特に本件のような、身体拘束という直接的重度の不利益処分には厳格性が要求されるのだから、「違法とまでは言えないから許す」発想よりは「不相当なら咎める」発想が要求されている、と言うべきだろう。
2件目の方で釈放を余儀なくされれば、流石に(1件目か2件目か或いは両方で)観護措置を請求して釈放を阻止しようとするだろうから、逆に言えば、観護措置を請求せずにのうのうとしていられるのは2件目の方で釈放しなくて良い状態=勾留延長があるからだ。となると、2件目の勾留延長は、いわば、恣意的に家裁の介入を阻止する道具に用いられているわけで、それを許すことは不相当だと断じても良さそうなものだ。
令状の制裁与奪を握る裁判所が、「不相当だと思うけど、ま、捜査機関も良識的にやってよね」という、毅然の対極の姿勢を取るから、捜査機関が増長するのだと思う。

(弁護士 金岡)