既に一部報道されているので解説がてら報告記事を掲載する。
共同通信社のまとめだと「(名古屋入管の被収容者と)面会しようとした際、パソコンの使用予定を答えなかったため入管から面会を拒否されたのは不当とし」て提訴された国賠である。

とある時期から、入管では全国的に、面会に来る弁護士に対する電子機器持ち込み規制を開始し、持ち込み目的を申請し、且つ、録音録画通信機能を使用しないことを誓約する誓約書を記載するか、誓約書を記載しないなら持ち物をロッカーに預けるよう求め、双方に応じない弁護士を面会室に通そうとしなくなった。
報告事例によれば、数時間待たされて漸く面会できる弁護士がいるかと思えば、そもそも電子機器の持ち込みをとやかく言われないため何事もなく持ち込めてしまう弁護士もおり、区々であるが、ともあれ、「ある」となれば上記のように乱暴な扱いを受ける。入管の論理によれば、面会を不許可にするわけではない(被収容者処遇規則33条1項は無条件で許可するとされているからである)が、応じなければ面会室に通さないということで、事実上の面会拒否に当たろう。

さて、私も同じ目に遭い、誓約書を記載しなかったため「荷物を見える形で持ち込め」と要求される始末であった。

本日の名古屋地裁民事第7部(前田郁勝裁判長)の判決では、(1)「面会自体を不許可とすることはできないのであるから、前記の説得に応じないことが明らかであり、かつ、説得に応じないまま面会を許すことにより保安上の支障が生ずる具体的なおそれがないにもかかわらず説得を続けるような場合など、説得の範囲を超えて実質的に面会を拒否していると認められる場合」は規則33条1項に反して違法である、とした。
その上で、(2)「誓約書の提出を拒否したとの事実だけから、職業上の倫理を遵守することが求められる弁護士がパソコン等を録音等に使用する蓋然性があると評価することは無理といわざるを得ず」等として、私に対する、説得という名の実質的面会拒否を違法と断じた。

前記(1)は、この種の国賠事案で裁判実務の潮流となっている、「具体的なおそれ」論である。具体的なおそれなく、施設管理権でなんでもかんでも制約することを違法と断じる論理であり、現状、穏当なところである。
次に(2)も、この種の国賠事案では論じられる点である。弁護士は高度の倫理を要求されることから、収容施設の保安を害するような行為に出ようなどとはそもそも考えない。「具体的なおそれ」論と弁護士倫理を合わせれば、施設管理権でなんでもかんでも制約することの行き過ぎは容易に分かろうものである。

繰り返しになるが、電子機器の活用は、弁護士活動の水準を高める。弁護士活動の水準を高めることは、裁判制度の適正化、人権擁護などに良い影響が期待できる。収容施設が施設の論理だけを振り回して他の権利利益を些かも顧みず、なんでもかんでも制約しようとすることの愚かしさに対しては、分かるまで指弾し続けるしかない。
今回の件では、不法行為(及び提訴)から2年3か月を要した。採算性で見れば全くもって割に合わないこと、甚だしいが、現場から声を上げない限り、ずるずると押しやられていく。
弁護士の基本的使命感である。

(弁護士 金岡)