先日、とある合議体の裁判長と解錠時期問題について議論をした。頭ごなしに「特別の配慮はしない」と言い放つ裁判体に比べれば、幾分か好感は持てるというものだ。

議論は平行線ではあったが(傍聴人を出し入れする方法は例の如く「職員体制が」を口実として難色を示されていたが、法廷撮影やら遮へいやら、必要があれば傍聴人を追い立てているのだから、言い訳にはなるまい)、その中で目新しく、かつ、奇妙に感じたのが、法廷内に入ったところで(衝立などの物陰で)解錠等する方法について、「そこから被告人席まで戒具なしに歩かせることに拘置所が難色を示す」という言い訳である。

被告人席から証言台まで戒具なしに歩かせることは、全件で行われている。被告人席から証言台までと、法廷の出入り口から被告人席までとで、距離に違いはなかろう。全く奇妙な言い訳を展開されるものである。どの口で被告人の弁解を「不合理」と排斥するのかなぁと思うと滑稽ですらある。

(弁護士 金岡)