入管の退令処分に対し取消訴訟を起こす場合(厳密には「異議棄却裁決」も対象に含める)、収容が絡んだり、そうでなくても日本語の書類に疎い依頼者層が、裁決文書をきちんと保持していなくて困る、ということが往々にしてある。
処分日を正確に特定できない場合、訴状作成は補正でなんとかなるにしても、それ以前に下手をすると出訴期間を徒過しかねないことも懸念される。

往時、名古屋入管の審判部門は、取消訴訟のために処分日を特定する問い合わせに対し口頭で回答する運用をしていた。数回は利用した。
ところが昨日、同じように問い合わせをしたところ、「行政文書の開示請求を」という。運用を変えたのか?と尋ねると、そもそも、そのような運用は確認できない、という。
相変わらず、息を吸うようにウソをつくところだと実感する。

行政訴訟の利用を拡充するため行訴法46条が制定された経緯にも鑑みれば、同条の直接想定する場面でないにしても処分日を特定できない理由も無いだろう。よりにもよって行政文書の開示請求をせよとは・・「その間に出訴期間を徒過したらどうするつもりだ」と尋ねるも無回答であったので尚更、頂けない。
因みに相談者情報によれば、出訴期間が徒過するまで2週間を切っている状況のようだ。どうしろというのだろう。

(弁護士 金岡)