先日の「検察もひどいが弁護人も輪をかけてひどかった」の後日談(経過報告)である。

任意開示なら幅広に応じるよと気前の良さそうなことを宣った検察官が、実は最初期の嘘の書かれた調書を開示しない、弁録を開示しない、などという明らかな背信行為をやっている。これに対し弁護人も弁護人で、そのような背信行為を追及もせず、それどころか身体拘束されていた検察官証人の録録の開示1つ求めていない体たらくであり、最早これでまともな裁判という方が無理があるという代物であった。

そこで控訴審では文字通り一からの証拠開示請求をしたが、当然のごとく検察官は応じない。情けないことに開示請求の翌日には「応じない」とばっさりであり、上記のような体たらくに公益の代表者として向き合う姿勢は皆無であり、検察庁の偏頗さ、違法不当な証拠不開示が冤罪を大量生産している歴史を軽んじることは相変わらずである。

そこで証拠開示命令を申し立てたところ、裁判所から開示勧告が発せられたので、以下に抜粋して紹介する。
なお、以下の短文を捉えても本欄1回分では到底書き切れないだけの議論が可能であるが、動いている事件を敢えて紹介したこともあり、現時点で評価的な言及は差し控える必要がある。そのことは他日を期したい。

(抜粋)
当裁判所は、検察官の意見を聴いた上で、原審における審理の状況等に鑑み、検察官に対し、下記の通り勧告する。
「検察官は、弁護人に対し、2025年6月3日までに、本件が原審において公判前整理手続に付された場合、弁護人に対し開示すべき証拠(既に開示されたものを除く。)を開示されたい。」(2025年5月13日、裁判長松田俊哉)

(弁護士 金岡)