鑑定医と協議した結果、問診に弁護人が立ち会うことを条件に、問診に応じている鑑定留置案件がある。
鑑定医が供述録取書等を作成するわけではないものの、その鑑定面接における面会記録が鑑定書に記載されれば、(鑑定資料としてのそれとは別に)事実認定に一定の影響を及ぼすことは必然である。それ故、鑑定医の問診も取調べと同視して対応する必然性があり、現に本件では、上記協議が整う前は被疑者は「出房拒否」した。鑑定医も、このような方針に強硬姿勢を取ることなく、弁護方針を尊重してくれているので、こちらも柔軟に対応することが出来ている(捜査機関も少しは見習うと良い)。
さて、鑑定医が名古屋拘置所で問診したいというので、弁護人が同行することを条件にこれを承諾し、いざ、現地入り(勿論、拘置所には弁護人の同行を事前に伝えていた)すると・・拘置所は「今日は接見室で行うと決まっている」として、いわゆる「取調室」は使用させないとした。
鑑定医が「アクリル板がない方が良いので、通常通り、取調室を」と要望しても、変更に応じない。
鑑定医は、心理検査を行う必要があるので、そのためだけにでも取調室を使用したいと申し出たが、名古屋拘置所は弁護人の立入を拒否したため、取調室での心理検査も断念された。
一体全体どういう発想で、こういう事態になったのか、真に理解しがたい。
拘置所の方針として取調室への弁護士の立入を拒否したかったのだろうか。
しかし私は、名古屋拘置所の取調室に立ち入ったことがある(「在宅事件の方に関し」押収物還付を受けるのに、被収容者が弁護人の立会を求めて、実現した)。
しからば、検察官の横槍だろうか。それは大いにありそうなことであるが、検察官がどう言おうと、名古屋拘置所は独自に判断できるのに、それに盲従しているのだとすれば結局、同罪、同じ穴の狢であろう。
(弁護士 金岡)

















