本欄2024年9月18日「国賠提訴×2」で報告したように、平間文啓検察官が、訴因や被害者証言の信用性を台無しにするLINE履歴を論告前に入手していながら、それを隠したまま訴因を維持し、被害者証言の信用性を肯定する論告を行い、それにより、元被告人を虚偽の物語で有罪にしようとしたことについて、国賠を提訴し、本日、判決を迎えた(名古屋地判2026年5月29日、笹本哲朗裁判長)。
結論としては、無事、勝訴した。
内容的には、虚偽の訴因を維持したこと、虚偽の論告を行ったことの違法性を認め、証拠隠しについては、それらにおいて評価され尽くしているとして独立した違法性の扱いをせず(判断回避)、慰謝料は100万円(予備的訴因を立てることが国賠法上違法だという主張は行っていない事案である)、弁護士費用10万円。
私の研究対象ではないので確たることは言えないが、証拠隠し問題を飛び越え、虚偽の公訴事実を維持した違法性や、虚偽の論告を行った違法性を正面から認めた裁判例は珍しく、一定の意義があるのではないかと思われる。
未確定であるので、以下、内容の概略を紹介する。
1.平間検察官が、差戻前第1審論告までに、当初公訴事実と矛盾し、また、被害者証言の信用性を肯定した論告とも矛盾するLINE履歴を入手していたことを確認(入手事実について判決6頁、公訴事実との矛盾について20頁、論告との矛盾について24頁等)。
2.当初公訴事実を維持したことについて、「法の予定する一般的な検察官であれば、構成要件に該当する公訴事実記載の具体的な事実について、それと矛盾する証拠が出てきた場合には、そのまま当該公訴事実に基づいて訴訟追行するのではなく、訴因変更請求等の対応を講じるのが通常期待されているといえる」ところ、平間検察官の行為は合理性を肯定できず、違法である(21頁)。
3.被害者証言の信用性を肯定する論告を行ったことについて、「法の予定する一般的な検察官であれば、論告の前に、存否が争われている事実の直接証拠となる関係者証言と矛盾する証拠が出てきた場合には、そのまま当該証言が信用できると論告するのではなく、裁判所や弁護人に経緯を説明した上で、関係証拠の開示をする、他の証拠による立証を検討する、他の証拠による立証が難しい場合は当該事実の立証を断念するなどの対応を講じることが通常期待されているといえる」ところ、平間検察官の行為は合理性を肯定できず、違法である(26頁)。
4.LINE履歴の証拠開示を行わなかった違法については、「適切な是正措置」を講じるべきだったとしつつ、当初公訴事実を維持した違法、及び被害者証言の信用性を肯定する論告を行った違法に評価され尽くしているとして、独立した国賠法上の違法性としての評価をせず(28頁)。
5.原告の精神的苦痛については、「公益の代表者として、正しい事実関係に基づき、被告人を訴追する責務を負つている国家機関である検察官から、客観証拠と矛盾していことが容易に分かる事実関係に基づいて訴追されたままの状態を漫然と維持され有罪判決を受ける危険にさらされて、実際に一度は有罪判決を受けた原告の精神的苦痛は大きい。」ことを指摘し(28頁)、100万円及び弁護士費用相当損害10万円。
(弁護士 金岡)

















