火災被害の事案で、火災原因判定書などを入手すべく、弁護士会照会を申し立てたところ、火災原因「電気ストーブ(推定)」、加害当事者の供述状況「回答できません」というような、僅か十数文字の回答を受けた(中村消防署)。

どういう調査を行い、どういう根拠に基づき、どのように火災原因を推定したのか、という判断過程がものを言うことは明らかであるため、馬鹿にしているのか、と、弁護士会を通じて督促するも、全く相手にされず。
やむなく見切りで提訴して、調査嘱託を申し立てたところ、現場写真を含む数十頁以上の資料が開示された、という展開である。

裁判所による調査嘱託(民事)や公務所照会(刑事)と、弁護士会照会とでは、法文上の文言は瓜二つであるのに、回答の精度が大きく異なることは、まま、経験することであり、今更に驚くことではないのだが、心外なものは心外である。
しかも本件の場合、当該消防署に適用される取扱指針において、「火災原因(発火源、経過、着火物等を含む)等当該火災にかかる事実については、原則として開示できる」とされているのだから尚更にひどく、悪質な業務妨害と捉えざるを得ない。

察するに、紛争化している以上、どちらか側に資する情報を出して、反対当事者から批判を受ける等、紛争に巻き込まれるようなことは嫌だという保身なのだと思うが、消防署に関して言えば、公権力を行使し、火災原因の判定資料を一手に独占しているため、情報はそこから入手するしかない。
そのような立ち位置の公権力が保身に走り、自らの取り決めすら無視して問答無用に振る舞うと、割を食うのは一般市民である、ということがよく分かる。

こういう、思慮が足りない無知蒙昧の輩が、平然と公権力を行使し、それを咎め立てする方法がない(現行判例上、弁護士会照会に対する不当な報告拒絶を訴訟にするのは非常に難しいが、その原因を作った最高裁は、弁護士会照会が先細り、それが人権擁護や司法全体に弊害をもたらすことについて、真面目に考えたのだろうか?)「やったもの勝ち」状態である、というのは、やはり仕組みとして間違っている。

(弁護士 金岡)