本日、天白警察署の案件である(担当警察官は刑事課の伊藤警察官ら)。
来週中には国賠訴訟に進むが、大事な話題なのでここにも記録しておく。
本日午前7時過ぎ、「天白警察署の警察官から」事務所に電話があった。
後に依頼者に確認したところでは、捜索差押に入られた依頼者(被疑者)、及び、その配偶者が何れも携帯電話の使用を禁止され、弁護人と連絡を取りたいとしたところ、警察官が代わりに事務所に電話したという経過である。
これだけを聞くと、「弁護人との連絡が実現したではないか」と思うかもしれないが問題はここからである。
私が折り返し架電し、なんとか電話に出た配偶者が被疑者に電話を替わると、電話越しに警察官が「電話は禁止」「切れ切れ」と叫び始め、ものの数分で電話が切られた。
再度、折り返し架電すると、配偶者が出る。被疑者を呼ぶように言い、配偶者が声を上げて被疑者に「電話出る?」と呼ぶと、被疑者は「出る」と応じるのだが、警察官がこれを妨害し、被疑者は電話に出られない。
私から繋ぐよう要求すると、「捜索差押えを妨害されるかもしれないから繋げない」「そもそも話しているのが弁護人か確認できない」などと、相手にするのも馬鹿馬鹿しい戯言が続き、挙げ句、捜索差押令状で外部との電話連絡を制限できると主張し出す。刑訴法のどこに書いてあるか等と「一言一句覚えているわけがない」と、こうである。
こういう押し問答を50分以上、続けたが、結局、すぐに切られた最初の数分を除き、依頼者と話すことは出来ず、配偶者も、「これ以上、弁護人と電話するなら外に追い出す」ということで散々、脅されるという始末である(病気のお子さんが寝ていたため、配偶者の恐怖心は相当強く、特別公務員犯罪としての告発も視野に入れるべきだろう)。
さて、捜索差押中の被疑者に電話使用を禁止することは出来るか。
弁護人との通話はどうか。
答えは「何れも違法」である。
このことは既に、高裁の判断が複数、示されている。
刑事弁護に詳しい層以外に走られていない可能性があるので、ここに書いておこう。
一つは名古屋高判2015年2月27日である。
該当判示部分は次のようである。
「被告人は,本件捜索差押における立会人であるとともに,覚せい剤使用の嫌疑を受けた被疑者でもあったところ,関係証拠によると,警察官は,被告人が弁護士に電話したい旨述べているのに対し,捜索差押中は法的に弁護士も含めて電話は一切できない旨を被告人に申し向けている。所論は,種々の指摘をして上記原判断を論難するが,要するに,警察官は,本件捜索差押当時,被告人を覚せい剤使用の被疑者としても取り扱っていたのであるから,被疑者としての基本的権利である弁護人依頼権を妨げるような行動を取ることは許されなかった,という趣旨の主張と理解される。被告人も,原審公判で,弁護士に連絡する趣旨について,本件捜索差押えに係る令状の効力で外出や飲食の禁止が許されるのか確認したかったなどと述べるにとどまり,覚せい剤使用の嫌疑や採尿に関する事項について相談したかったとは明言していないものの,本件録音反訳中の会話内容からうかがえる当時の状況等にも照らすと,その実質は,要するに,本件捜索差押えに係る令状で覚せい剤使用の被疑者扱いまでもが許されるのかを確認したかったという趣旨と理解される。そうすると,いくら本件捜索差押えが行われている最中であり,被告人が本件捜索差押えにおける立会人の立場も有していたとはいえ,本件当時覚せい剤使用の嫌疑が認められるとして強制採尿令状の請求手続も開始していたのであるから,警察官が,捜索差押中は法的に弁護士も含めて電話は一切できない旨を被告人に申し向け,被告人の弁護士に対する電話連絡を制止した行為(以下「本件行為」ともいう。)については,本件捜索差押えに際して必要な処分として是認されないばかりか,被告人の有する被疑者としての弁護人依頼権を侵害した違法の疑いがあるといわざるを得ない。」
福岡高判2018年7月20日もある。
該当判示部分は次の通りである。
「この点,記録によると,唐津警察署員らは,本件居宅の捜索差押えの開始当初に,被告人らの所持品を確認した上,所持していた携帯電話を床上等に出させた上,その使用を禁止する趣旨の指示をしたほか,弁護人に連絡をしようとして携帯電話を使おうとしたBに対して,捜索が終わるまでは外部の者とは連絡できないなどと言ってその使用を禁止していることが認められるところ,原判決は,携帯電話の使用の禁止につき合理的根拠があるとしている。しかしながら,捜索活動の妨害排除,差押対象物の隠匿・廃棄等の証拠隠滅を防止するという刑訴法112条の出入禁止の趣旨を踏まえても,捜索の現場に居合わせた者が弁護人に連絡を取ろうとする行為は,直ちに証拠の隠滅や捜索活動の妨害に当たるわけではないから,携帯電話の使用を一律に禁止したことは,正当な権利行使を妨げる措置で,違法であるとの評価を免れない。そして,警察官のBに対する上記の対応は,捜索現場に居合わせた者全員に対して,携帯電話の使用を一律に禁止することを示したものといわざるを得ないから,唐津警察署員らの電話使用禁止の措置は,被告人に対する関係でも違法の評価を免れない。」
どうだろうか。
国賠にして当たり前だろう。
本欄では屡々指摘するが、相当数の警察官は、法的根拠など意に介さず「こうしなければならない」という妄執的観念にとりつかれ、「法の支配」「弁護権」「裁判例」等といさめても聞く耳を持たない。説明に窮して「一言一句」とか言い出すあたり、本当に子どもじみており、憐れみすら感じる。
初等教育を施して教化し、法律は守らなければならないという、イロハのイから、教え込む必要がある(自分自身の懐が痛まない警察官にどれほど効き目があるのかは分からないが、愛知県がなれ合って求償しないなら、住民監査請求も考えられるのではなかろうか)。
(弁護士 金岡)

















