本年11月6日に共同通信が配信した記事である。
大方、RAIS(取調べ拒否権を実現する会)が独自集計していた数字が掲載されたのだろうと思ったら、同会のウェブサイトに記事の紹介がされていたので、間違いないところであろう。
取調拒否の全国件数が、2024年からの2年間で「少なくとも」158件という報道であるが、一見して「そんなに少ない筈はないだろ」と思う。おそらく、情報収集の方法に問題があるのだと思う。
実際のところ、私が現在、受任中の事件(つまり、不起訴で終了したりしたものは含めない計算である)の中で「出房拒否」している(していた)のは4件である。私が捜査段階から就いていたのも4件で、つまり100パーセント、そうしているということになる。
2024年から数えるなら、終了してしまったものも含め2~3倍の数字は堅いだろうから、私限りでも10件前後は「出房拒否」事例があることになる。
既に周囲では普通に「出房拒否」している状況に鑑みても、2年間、全国総数なら、数千件規模になっている筈だと思う。
記事中で「少なくとも」と断られているとは言え、余りに極端に少ない数字を出してしまうと、取調拒否がなにか特別のことのように捉えてしまう逆効果を懸念する。
なお、文中、敢えて取調拒否と出房拒否を分けたのは、在宅事件でも、弁護人同席が認められないなら取調室に入ることを拒否して問題ない、という常識が既に定着し始めているという問題意識の発露である。
RAISの数字は、(記事中で明示的に断られているわけではないが、察するに)身体拘束下の事件限定であろうが、それすら適切ではなかろう。
取調対策は、積年の捜査弁護の課題であった。
包括的署名押印拒否や、包括的黙秘など、手を変え品を変え、様々な対策が編み出され改良されてきたが、依頼者の負担を極限まで減らし、且つ、少なくとも不十分な供述調書が作成される危険を極限まで減らすには、取調室に行かなければ良い。
実に分かりやすく、原理原則に立ち返り、文句のつけようもない。
「何時間で解放されるか分からないが、とにかく、ひたすら黙秘していれば良いから」という助言は、どこまで懇切丁寧に対策を授けても、依頼者に体を張らせていることに変わりは無く危険はゼロでは無い。最早、この助言は、勉強不足の証、過誤である。
(弁護士 金岡)

















