今日も今日とて「199の10で該当部分を示させない派」の裁判官に遭遇した(岡崎支部、三芳裁判官)。
証人が例のごとく「調書にそう書いてあるなら、そう説明したのだろうが、当時の供述は覚えていない」というので、当時の供述存在立証をしたい場面であるが、言うに事欠いて「示す必要はない」「内容の顕出は他のやり方がある」とこうである。

現状正解が決まっていないのだから、そういう見解を採用する分には御自由にとしか言いようがないが、果たして彼/彼女らは、裁判員裁判でも同じようにするのだろうかが疑問である。
裁判員からすれば「結局そういう調書があるのかないのかどっちなんだ」という思わせぶりなままに尋問が終わり、後日、328条ないし供述存在立証で海苔弁的調書が証拠請求されることが、法廷の活性化や、法廷で心証形成出来る生き生きとした裁判像だと、思っておられるのだろうか。
もし裁判員裁判では該当部分も示させるのだとすれば、それは結局、裁判員には阿るが被告人には我を通すという、心得違いも甚だしい残念な裁判官であろう(件の三芳裁判官が、裁判員裁判でも毅然として該当部分を示すことを許さないのかどうかは、私には分からない)。

この法廷で遭遇している時代錯誤的な現象について愚痴をもう一つ。
検察官が実況見分調書の証言予定内容を示さない!という愚痴をこぼした本欄本年6月6日について、その後、「具体的な開示はしない」と検察官が回答したため開示交渉は決裂し、裁判所に開示命令を求めるも不発動となった。
すわ、(未開示内容に対しても即時反対尋問せよという)反対尋問権侵害かと色めきたつも、「弁護人が即時反対尋問をしないというなら、反対尋問は強行しない」と、なんとも「有り難い」御約束を頂いたのも、この裁判官である。

未開示の証言予定が飛び出し、弁護人が即時の反対尋問ができないと方針決定した場合に、反対尋問を強行しないのは一見すると御立派ではある(反対尋問を強行しようとした裁判官も、過去何人か、遭遇した)。
しかし、考えてみれば、配慮するところはそこではないだろう?と思わざるを得ない。
即時反対尋問は被告人の積極的な利益である。また、反対尋問は一月後にやりましょう、というのが、全く不合理な訴訟遅延であり、迅速な裁判を受ける権利保障に反することも明らかである。
反対尋問を強行しないのは赤点すれすれの最低線であるが、そもそも、証言予定内容の開示を拒む検察官を訴訟指揮権によって更生させるのがあるべき姿であるし、それでこそ、前記被告人の諸権利が守られるはずであろう。

意味の分からない展開に非常に困惑している。本件は整理手続に付されたわけではないが、10か月の準備期間を経て集中審理入りしたものであり、証言予定内容の開示を免じる理由はない。引き合いに出しては申し訳ないが、かの山口裁判長@名古屋高裁も、控訴審での実質審理において、検察官が証言予定内容の開示を行うのは当然との訴訟指揮をされていた。同裁判長の評価は、本欄の幾つかの記事を見れば良いが(以下略)。
とまれ、迷惑を受けているのは被告人であるが、検察官、裁判官の眼中に被告人の姿はないのだろうか。なお、検察官=塩村広子検察官である。

(弁護士 金岡)