一般化して言えば、検察官の主張する被告人車両の車速に対し、被害者の負傷が軽傷に過ぎ、車速の主張が誤っているのではないかと疑われる事案がある。この場合、どこをどのように負傷したのか、していないのか、医療記録全般に基づき精査を要するだろうことは異論が無いように思われる。

しかるに検察官は、これが痛くお気に召さないようで、とうとう言い放ったことが「7階から落ちても無傷の事例もある」とのこと。

ああなるほど、冤罪がなくならないわけだと、しみじみ思う。
捜査官は、そうやって事実から目を背け、見たいものしか、見ようとしないんですねと、嫌みの一つも言いたくなる(実際には「上司」に抗議文を出すのだが)。
犯罪捜査規範も、検察の理念も、客観証拠による慎重な裏付けを重視すべきことを訓示しているが、現場の検察官がこれでは、「日暮れて道遠し」というものか。

これが地検の支部長というのだから、なおびっくりである。

(弁護士 金岡)