前回保釈不許可から約2週間後に再度の保釈請求がされた事案である。
弁護人が前回保釈不許可を意識して事情変更を主張し、「A、B、及び身体拘束のさらなる長期化」を指摘したところ、準抗告審裁判所は「・・さらに・・被告人の身体拘束期間を踏まえても、前回の保釈請求却下を覆すに足りるほどの事情の変更があったとはいえないから、被告人の保釈を許可しなかった原裁判に誤りはない」とした(名古屋地決2022年8月18日、山田耕司裁判長)。

このような裁判所の判断には2つの問題がある。

第一に、事情変更の有無のみに囚われて、改めて保釈判断を行うと言うことをしていない、ということである。12日前と12日後とでは、12日分の身体拘束期間が先ず違うし、裁判の進展(もしくは何も進展せず無為に拘束が続いている事情が明らかになったことにおいて)も違う。
当該身体拘束が本当にやむを得ない最小限度の処分(比例原則)であるかは、都度、検討し直す姿勢が当然ではなかろうか。

第二に、12日程度の身体拘束のさらなる長期化は事情変更に当たらないと言い切っていることである。社会から12日間、余計に隔絶されることが、どれほど不利益なのかと言うことが見えない人間に裁判をさせるべきではないだろう。
一月にいっぺん、一月勾留延長の判子を押すことに慣れていると、「12日程度で何が問題なのか」という、まさしく非常識な考えに染まるのだろうか。
非常識な考えに染まる職業病もお気の毒だが、こんな連中に釈放を委ねなければならない刑事被告人はもっと気の毒である。

(弁護士 金岡)