正式には「被疑者の取調べにおける弁護人立会い要求等に対する対応要領」である。
改訂を重ねて2022年8月版が最新のようであり、このほど初めて読んだ。

Q&A2番によれば、犯罪捜査規範180条2項は、特信性立証のためだそうである。取調の適正を確保するためではなく、特信性を立証するための制度だというところ、実に警察目線である。
なお、犯罪捜査規範の逐条解説では、(所持している版では)「署名押印を求めることは」「取調の公正さを担保し、特信性を確保するためにほかならない」というように記載され、立会を求めることに意義を見出すのでは無く署名押印させることに意義を見出しているから、結局同じような理解なのだろう(なお、弁護人は、立ち会っても署名押印すべきでは無いことは、言うまでもなかろう)。

Q&A7番は、任意取調べにおける被疑者のメモ作成要望に対する対応要領である(本欄でもおなじみの話題)。
一律、認めるな、という結論である。
その理由は、①メモが流出すると捜査に支障が生じる、②メモが流出すると関係者のプライバシーや名誉を害する恐れがある、③刑訴法47条の捜査記録非公開に抵触するおそれがある、というのであり、どうしてもメモ作成要望が撤回されないなら取調の中止を検討すべきだという。
おまけに「もとより、拘束被疑者について、いわゆる被疑者ノートの持ち込みなどに応じる必要はありません」とも付け加えられている。

一見して、頭悪いな、という内容である。一歩取調室を出て、取調内容をメモすることは出来るのだから(現に発問の都度、退室してメモを作成した事例もある)、取調室の中だけでメモを作成させなかったから①②に変化が起きるなどと言うことは考えられない。(制約目的の正当性も相当に疑問だが)手段の合理的関連性が皆無である。
③に至っては・・被疑者のメモが捜査記録??意味が分からない。兵庫県警は、被害者側が事情聴取でメモを取ることも禁じるのだろうか?被害者側にメモを許容するなら、刑訴法47条違反などという馬鹿馬鹿しい論拠は端的に崩れているわけだが。

適正手続保障や防御権といった憲法的権利よりも、上からの違法不当な指示の方を思考停止で遵守する。そんな捜査機関に適正捜査が期待できないのも、宜なるかなである。

(弁護士 金岡)