最近の勾留・保釈は?と尋ねて、良くなっているという声は先ず聞かれない。
我と我が身を振り返っても、「こういう裁判官は救いがたい」と結論付けるしかない現象にうんざりしてばかりである。

とまあ愚痴を言っていても始まらないし、後ろ向きの話題ばかりでもなんなので、取り敢えず少し前向きな方を一つ紹介し、あとはひどい事例を紹介していこうと思う。

さて一般に、前任が投げ出した、或いは前任では不許可だった保釈を、交代して実現出来た場合、一概には言えないがやはり技術的な違いも相応に影響しているだろう。本欄2021年12月12日「4日で逆転保釈に漕ぎ着ける」は、医師への取材により必要性の核となる手術の必要性についてきちんと疎明し、あっさり逆転に至ったものであるが、例えばそういうことである。

今回経験した事案も、2月に国選弁護人が保釈を請求して却下され、その後、こちらに相談が来て交代し、(大体2か月後の)受任後、すぐに保釈許可を得たものである。
事案としては累犯前科のある窃盗の否認事件であり、有罪なら実刑が確実である。前任当時、3号4号で却下されており、検察官の反対意見は「不相当却下」意見であった(前任弁護人は不服申立を行わず)。

この事案では、罪証隠滅自体はさほどでもないが、逃亡方面はやはりきちんとした手当が必要だろうと思われた。しかし前任は、極めて形式的な家族の身元保証書しか提出しておらず、(実際のところは分からないが記録からは)弁護人自ら家族と面談したかも判然とせず、また、家族は一度も面会に行っていない、という状況であったため、検察官は反対意見中でここを強調し、それはある意味、尤もな指摘でもあった。

後任としては、当然ながら家族に面会に行ってもらい、その上で家族と面談して状況を確認し、保釈された場合の生活見通しを具体的に聴取し・・という、まあ丁寧に普通のことをやっただけなのであるが、検察官は「事情変更がないので前回判断を維持すべき」とはいうものの、意見を「単なる不相当」に緩和し(こういう柔軟な検察官対応は見上げたものである)、また、反対意見の論調も「本当に見通し通りに家族が協調できるかは不確かである」といった、流石に為にする反対かなという程度のものになっていた。
結果、無事に保釈が許可され、検察官の不服申立もなかった。
前回却下から概ね50日が経過していた(但し第1回前のまま)。

経験的に、今回紹介した事案や冒頭の事案のように、強いところや弱いところを見極め、梃子入れすることで結論が変わることは、ままあることであり、ちょっとした手間を惜しまず手を尽くすべきことは当然である。
特に身元保証関係を手抜きする(「友達」は論外だし、「家族」であっても、面会にも来ないような家族を出しても意味は無い)のは、ありがちだが、一番まずい。身元保証関係を梃子入れするだけで結論が好転した事案は二度三度ではきかないくらいあり、身元保証関係で手抜きをする前任の仕事を見ると依頼者を気の毒に思う。

今回、幸いにも逆転に漕ぎ着け、検察官も相応に事情変更を酌んだ反対意見を出した、というのは良い事例報告になろう。
被疑者にとって、一日一日が身体拘束の長期化であり、状況の変化に敏感に、それを的確に疎明するのが弁護人の使命である。

(2/3に続く)

(弁護士 金岡)