昨日の本欄で、捜査弁護研修レジュメを本格改訂して、特に取調べを受ける理由がないという視点を中心に構成し直したことを取り上げたが、その翌日つまり本日、事務所に季刊刑事弁護124号が届いており、なんと特集が「取調べ拒否が武器になる」であった(なお、季刊刑事弁護79号は「黙秘が武器になる」という特集をしており、私も「不当な取調べに対する対応」という小論を寄稿した記憶である)。

研修レジュメを本格改訂したのが、124号が届く前で本当に良かったと思う。下手に読んでから改訂するとどうしても影響を受けてしまい、私の研修の売りである「全て自分自身で実践可能なことを実証している」ことに異分子が混じりかねない。

ということで、腹蔵なく特集を斜め読みしたのであるが、各地の実践、理論的考察、捜査機関が実力行使をしてくる大阪・長崎の実情報告、これと対比される東京の実情(例によって名古屋は埋没している)等々、盛り沢山で、まあ基本的に私の実践と方法論、方向性は同じだと確認出来たのは何よりである。
これからやってみようという向きには格好の文献になるだろう。

あとついでに。

124号には、量刑問題研究会の連載の締めくくりである座談会も掲載されている。刑事裁判官経験者をお迎えし、且つ、松宮教授、城下教授という刑事法研究者の大御所に量刑論を縦横無尽に戦わせて頂いた意欲作であり、私も末席を汚しているとは言え、ほんの端役である。
刑事法研究者がどのような角度から量刑を理論化しているかや、これに対し裁判所は必ずしも理論を意識していない実情、そういった現状を踏まえて弁護人が追及していくべき実務上の留意点もちりばめられており、量刑上の主張に突破口を見出すのに活用頂ければ幸いである。

(弁護士 金岡)