昨日、某単位会で、身体拘束に立ち向かう研修を実施した。
捜査弁護研修の中から身体拘束問題に特化した内容を取り出し、そこに保釈の問題を加えたような構成で、2年前にも別の単位会から似たような企画の研修依頼を受けたことがある。
起訴前勾留と保釈とで、共通する部分もある一方、それぞれに固有の特徴もあり、両者をまとめて研修素材とし、議論することには利点も大きい。良い企画だと思う。

保釈について付け足すなら、大川原化工機事件を巡り検察庁も保釈対応のまずさに対する検証報告を出し、最高裁もなにやら2026年、保釈問題に関して内輪の検討を行うようである。勿論、妄想じみた罪証隠滅に固執する裁判所や、健康問題を抱える被収容者への誹謗中傷も辞さない検察庁に大きな問題があることは当然であるが、弁護士側も、疎明方針や疎明資料が明らかに不十分な、いい加減な保釈請求(申立)を行い、逆に過剰拘禁に加担している問題がないわけではない。
弁護人をすげ替え、少し、疎明方針や疎明資料を梃子入れするだけで保釈を実現させることの出来た複数の自験例を踏まえれば、このような時代の要請を受け、弁護士側でも自戒を込めて研鑽を積むべき分野である。

ということで、弁護士側で充実させていくべき改善点や、疎明資料の作り方、裁判所が必要としている情報を効率的に揃える視点など、話をしてきた。3時間研修と長丁場であったが、2時間では明らかに不足なので、これくらいになるのは仕方がない。
270人規模の単位会で、会場参加及びWeb参加の合計は50名程度とのこと。刑事弁護の研修に単位会の2割が出席するというのは、愛知では先ずあり得ないことである。

(弁護士 金岡)