最近、「誤証拠は即撤回、異例通知」として報道されたことで、このような通知が出されていることを知った。2025年8月4日付け、名古屋高等検察庁次席検事による名高刑第23号通知である。
内容としては、福井女子中学生殺人事件再審を受けて、取調べにおける誘導等や、証拠に反する事実主張に対し注意喚起するものである。

このような実務的に重要性のある通知は、発出後、速やかに三庁で情報共有出来ないものだろうかと思う。私の情報網もそれなりだと思うのだが、発出から5か月も知らず、報道で初めて知るというのは残念だ。

さて、全文は、既にあるところにはあるので、今回はうち一部、証拠に反する事実主張に対し注意喚起した部分を紹介する。該当箇所は以下の通りである。
「また、証拠に反する事実を主張したり、誤った事実関係を前提としたまま公判を遂行させたりすることなどあってはならないのは言うまでもなく、検察官としては、従前の主張や証拠に誤りがあることが判明したならば、速やかにそれを撤回し、必要に応じて裁判所や弁護人に経緯の説明や関係証拠の開示を行うなど、適切な是正措置を行う必要があります。」

まず思うのは、「こんなことを一々、上から言われなければならない検察庁は、本当にまずい状態にあるのだろう」ということである。
なにも特別なことが書かれていない。嘘を吐いてはいけませんよと、上級庁から注意されなければならない検察官に、訴追官としての資格はないだろう。

もう一つ思うのは、これまで国が数多の国賠で頑なに否定してきた証拠開示義務を検察庁が認めた点で、画期的(これを画期的と呼ぶのも情けないのだが、しかし画期的である)だということである。
証拠隠しを国賠で追及しても「法定された証拠開示義務はない」として逃げ回る国に対して、今回の通知は有効に働くだろう。

(弁護士 金岡)