本欄2024年11月10日等で報告した無罪判決について、地裁段階で確定したので、なんやかんやあったが2025年4月、刑事補償/費用補償を請求した。
その時点で「(そ)1号」「(な)1号」である。4月で「1号」は如何なものだろうか。
無罪主張の間に保釈され、別件で再逮捕され、そちらは有罪を争えない事件であったため、色々とややこしい要素はあるが、そこまで特殊な論点があるわけではない。
が、事例の集積は大事なので、簡単に紹介しておきたい(名古屋地決2026年1月26日)。
論点:刑事補償額の算定
請求人は、余り就労しておらず、2年前に短期間の稼働実績(日額1万5000円)があった程度だったため、検察は上限額に反対したが、裁判所は上限額を認定した。
論点:捜査段階の弁護士費用補償
実は、私とは異なる弁護人が捜査段階、私選弁護人として就いていたが、接見はするも、弁選を出していないという奇妙な事態があった。
裁判所は「弁護人選任届を提出することは基本・・弁護人選任届を提出できない事情があったこともうかがわれない。そうすると、請求人が・・・円を支払った事実があったとしても、同弁護人を本件被告事件の捜査段階の弁護人であったと認めることはでき」ないとして補償対象から除外した。
論点:所在尋問のためのタクシー代
期日出頭旅費は報酬に含まれて算定されるが、遠方の大学機関での所在尋問のためタクシー利用がやむを得なかった部分は別途、補償された。
論点:私的鑑定のための諸経費
勃起不全治療薬C100に覚醒剤成分が入っているかについて私的鑑定を実施した経費や、同C100を検察側で改めて鑑定するため押収する手続に弁護人が立ち会うための交通費は何れも補償された。
言い回しとしては「無罪の言渡しを受けたことに相当程度寄与した」というものであるが、これには異論があり、弁護方針を確立するための合理的裁量内であれば、結果として空振りであっても補償されるべきであるから、そのように説示すべきだっただろう。
(弁護士 金岡)

















