【1】
自閉スペクトラム症等の診断がされており、コミュニケーションに特徴のある被疑者の取調べのため、遠路、浜松西警察署まで同行した案件である。
事前に、障害特性を説明し、弁護人立会を求めるも、先方は拒否。
2か月以上、平行線のまま当日を迎えた。
さて当日、改めて弁護人立会を求めるも、当然のごとく拒否。
そこで「弁護人同席以外で、どのような障害特性への配慮がされるのか」を問うた。
すると、「誘導しない」・・それって障害特性への配慮ではなく当たり前のことですよね?と問うと、「体調に配慮する」「人権を尊重する」・・いやいや、障害特性を踏まえた配慮について聞いているんですが?という不毛な遣り取りに。
挙げ句「素人だから医学ことは分からない」と放言された(倉橋警部補)。
医学のことが分からないと開き直るなら、適正な取調べをする能力も、意思もないと言うことになる。適正さを欠く危険があると分かって、そのような取調べに応じる理由はない。
そちらが適正な取調べをやらないなら、取調室に入ることは出来ないという方針で対峙し、そのまま物別れとなって退去した。
低水準この上ないことである。
これで取調べの適正化とか言われても嗤うしかない。
【2】
同じ日、今度は昭和警察署でも取調べに同行した。
昭和警察署の安藤警察官は、取調べへの弁護人立会を「一律やっていない」という。
個別に検討するはずではないですか、と指摘しても「署の方針で、一律やってない」。
個別に検討し直す意向はないですか、と聞いても「署の方針で、一律やってない」。
・・と、脇に控えていた別の警察官が「個別に検討しています」。
安藤警察官は「じゃあ訂正します」。
浜松西警察署の事案と「丙丁付けがたい」というのは、こういうことを言うのだろう。甲乙を競い合うのではなく、最底辺を競い合っておられる。
立て続けに3度、「署の方針で一律、立会を認めていない」と述べたかと思うと、いきなり「個別に検討しました」と真顔で言う。紛う方なき嘘つきである、との評価を免れない。「嘘つきは警察の始まり」という諺が出来そうな勢いである。
いずれにせよ、こういう手合いを目の前で見せつけられた依頼者が、どういう気持ちで取調べというものを捉えるかはお察しである。
包括的な黙秘をし、所要時間3分でお開きとなった(最初は庁舎外で待機せよという勢いだったが、最終的には取調べ室の扉の前に鎮座し3分を待った)。
【3】
捜査弁護の研修を依頼されるようになって、かれこれ20年が経過するが、その当時から、此方の「戦法」に違いはあれど、取調べに応じることは、正に百害あって一利なしとの認識を前提にしてきたし、刑事弁護を真面目に担う層であれば、この点で意見が割れることもあるまいと思う。
一利も感じられないので、そこで議論としては終わるわけではあるが、実践的には百害の方もきちんと理解しておく必要がある。自ら配慮する意思も能力もないと開き直る警察官、舌の根も乾かぬうちに前言を翻す警察官。害悪でしかない。一部裁判官は、調書の幻想から徐々に解放されているように窺える節もあるが、我々刑事弁護人には、更に前進すべく、地道に、醜悪な取調べの実情を白日の下に晒していく責務がある。
(弁護士 金岡)

















