本欄でしつこく取り上げてきた、腰縄手錠問題に大きな動きがあった。
標題の通り、SBMの方にも動きがあった。
2026年1月27日の毎日新聞朝刊が1面で報じたのが、「被告の手錠・腰縄の運用見直し」「最高裁通知」である。なんでも「2025年から被告の護送を担う法務省、警察庁と見直しの必要性について協議していた」という。
・・なんで弁護士会とは協議しないのだろうかと、例の如く毒付きながらも、早速、該当通知を入手に走った。それが2026年1月26日付け最高裁判所事務総局刑事局第二課長「刑事裁判の法廷における被告人の戒護について(事務連絡)」である。同27日付けで日弁連にも通知されていた。
内容を見ると、報道の通り腰縄手錠問題について、歴史が動いたと評価出来そうな内容であった。更に、着席位置問題(SBM)についても、言及があった。
以下、掻い摘まんで紹介する。
まず腰縄手錠問題である。
裁判員以外の身体拘束事件の原則的な解錠方法は、なんと、既に6年以上も前に報告している浜松支部の「衝立方式」(その後の歴史的展開では、傍聴人出し入れ方式に押され気味で衰退した)が採用されている。
要するに、押送職員と被告人は衝立の陰に止まり、裁判長が解錠を指示して解錠された状態で登場するという流れだ。通知は無駄の多い手順が書かれているが、そのうち、良い意味で省略、洗練されていくだろう。
尤も、裁判体が「見る」という点は譲られていない。
裁判体の意識も変えていく必要があるので(我々は、この通知が出るまでの間、どれほど、その人権侵害性を訴えても、理由にならない理由で配慮を拒絶され、剰え、一審強の協議事項に馴染まないなどとして門前払いを喰らっていた歴史を知っている。それはひとえに、数多の裁判官(と、それに追従するだけだった検察官)が、腰縄手錠状態を晒すことを問題だとすら思わない、人権意識が激しく鈍麻した憂慮すべき状態にあることを意味する。)、日弁連は今後、衝立方式を更に推し進めて、入廷口の手前で解錠するよう、提言していく必要があろう。
次に着席位置問題である。
通知には一言「裁判体の求めがあれば、弁護人席の隣とする。ただし、戒護上の問題など特段の支障がある場合は協議する。」とある。
勿論、法廷戒護であるから、身体拘束事件が前提であり、要するに、「特段の支障がなければ、裁判体が当然、SBMを求める」と読むことになろう。
こちらについては、「留意事項」として、戒護職員の配置や、「共同被告人の場合の原則的な着席位置の在り方について共通認識」など、少々、分からない内容も並んでいる。今後の実務において、弁護人は、後退させない努力を要しよう。
SBMが原則化する以上、もう「前のベンチ」は不要である。
どうしても前のベンチが必要な時だけ、物置から出してくれば良い。腰縄手錠姿を晒さないための衝立を設置する手間すら惜しんだ裁判所のことである、きっと、物置から出してくる手間も惜しんでくれるに違いない。
これらの問題は、大阪地裁の腰縄手錠国賠を生みだした現場の弁護士の努力、それを受けて地道に実践を積み重ねた弁護士(私も末席に加えて貰う資格はあるだろう)の努力、人権侵害性よりも横並び状態を優越させることを良しとしなかった一部裁判官の思い切り、それらが結集した名古屋の人権擁護大会等の一連の流れに、ついに最高裁判所が抗えなくなったものであろう。
2007年に、髙野隆先生から学ばせて頂いた実践を報告した共著論文「弁護人の隣に座る権利」(季刊刑事弁護52号)を上梓してから20年弱、歴史が動くところを目の当たりに出来たことは幸いである。
(弁護士 金岡)

















