少年事件の記録を読んでいて、検察官の「反論メモ」なるものを発見したので、取り上げておくことにする。
事案としては、先日掲載した「弁護人同席放棄を唆す検察官」となる。
要は、検察庁への取調べ出頭同行からの、同席を拒否されたので取調室に入ることをお断りしたところ、検察官が依頼者に対し、「終局処分を行うのに、あなたの言い分を聞かないままで良いのか」と迫り、言い分を聞いて貰いたいなら弁護人同席を放棄せよとの二者択一を強要してきたという話題である。
勿論この件では、即刻、検察庁に抗議文を出してあったのだが(今、記録を確認したところ、何故か検事正は名宛て人に含めず、中田光昭検察官本人にのみ、抗議文を出してある)、少年事件の検察庁記録にその抗議文が綴られ、更に続けて、中田検察官の「反論メモ」なるものが綴られていた。
内容としては、前記脅迫的言辞についての釈明であり、被疑者の利益のための発言であるという趣旨がくだくだとA4二枚に亘り書かれていた。なお、「反論メモ」に宛名は書かれていなかった。
この「反論メモ」は、一体、何のために作られたのだろうか?
中田検察官が誰にも言われず自主的に反論を作成するというのは不可解だ。
おそらくは、検察庁内部の指示によるものなのだろう。
弁護人から抗議が寄せられると、(今回のように偶々、検事正を名宛て人に含めていないとしても)上司に報告がされ、上司から反論メモを作成するよう指示が出され、それが検察庁内部で検討され対応が検討される、そんなところではないかと想像される。
だとすれば、手を抜かず抗議するだけで、検察庁の然るべき面々の目に触れ、(無視されることも多々あるだろうが)何かしらの反応がある場合も期待され、勿論、担当検察官にはそれなりに重しとなるのだから、抗議する意味は大いにあると言うことになる。
また、このメモは一種の取調べ経過にかかる公文書であり、捜査記録に綴られることになるから、当然、証拠開示の対象となる(家裁に送致しながら捜査記録ではないとは言えまい)。仮に検察官による違法捜査が争点となるような事案では、格好の初期供述ということになるから、当然、開示させて然るべきだ。
「弁護人の抗議に対し担当検察官が見解を記載したメモ等」こういう感じで開示を求めていくという選択肢が増えた。
本件でのみ反論メモ作成が指示されたとは全く思われないので、おそらく全件で反論メモ指示がされているのだろう(名古屋地検独自の取り組みなのか全国的取り組みなのかと言われれば、やはり後者だろう)。
なお、今回の「反論メモ」には、被疑者の利益のための発言であるという趣旨がくだくだと書かれていたが、発端となった、弁護人同席を認めなかった「裁量判断の理由」には触れられもしていなかった。
国会の政府説明では、弁護人同席を認めるかは合理的裁量判断に係らしめられているという話だったが(誰も信じていない)、反論メモに、その裁量判断理由への言及がないことからすれば、やはりというかなんというか、検察庁では「そもそも弁護人同席には一切応じない」ことが徹底されており、故に、折角の「反論メモ」でも、「何故、弁護人同席を認めなかったか」など、一々、言及する対象ではないと言うことが、よくよく分かる。
旧態依然たるタコツボ組織、国会でも嘘をつく。
検察官の不祥事が相次ぐのも宜なるかなである。
組織が腐敗しているなら、まともな教育など行われるはずもない。
(弁護士 金岡)

















