「その1」では、愛知県弁護士会調査室が、自ら事案の抽象化を命じておきながら、抽象的なので回答できないという照会先に対し無策のまま、弁護士会照会手続を打ち切ってしまったことまで説明した。

名誉毀損からの救済のとっかかりを待ち続けて約1年、依頼者Aの失望たるや、いかに大きいものがあったかは想像するに余りあろう。名誉毀損行為は十分に疎明されているというのに、加害者Bへの配慮を盾に依頼者Aの救済を拒む。放置に放置を重ね、二枚舌を使って照会打ち切りを正当化しようとする。
実に見苦しい対応であったと言わなければならない(最後の文書は、当時の会長名義であったことも付け加えよう)。

なるほどAの人権もBの人権も重要である。重要であるが、名誉毀損行為が一定、疎明されたなら、Aの人権のための公益的要請が勝ろう筈である。それでもBの人権の方が優位するというのは、お為ごかしであり、要するに、仮にBが在学関係上で不利益を受けた場合に弁護士会に責任が及ぶことを過剰におそれたというのが実態だと、私は考えている。

後日談。
他会の弁護士に応援を要請し、他会から(厳密にはBの他の在籍関係のある別組織に)同旨の照会を行い、すんなりとではないが同会の粘り強い対応により、Bの連絡先を入手することが出来た。Bに通知を送ったところ、そのような名誉毀損行為はすぐに止めると言うことで、すんなり話が付いた(旧照会先は、Bに対し愛知県弁護士会から照会が来た時点で呼び出しをかけ、そのような行為を止めさせていた由である)。

結果論的に言うと、愛知県弁護士会調査室は、第一にきちんと疎明されている名誉毀損案件について、過剰にBの人権に配慮しすぎた。訴訟で公益的意義を振り回している愛知県弁護士会調査室が公益的要請を見逃すはずはないから、要するに保身したのである。第二に、放置に放置を重ねたため、(私からの)責任追及をおそれ、無理矢理照会拒否を正当化するという保身をした。二重に保身したわけである。

名誉毀損行為の疎明を確認した上では、公益的意義に鑑み毅然として照会し、仮にBから抗議が来ても、正当行為だと反論すれば良かっただけのことである。実に残念な保身であり、今後の反省材料としてもらいたい。私の起案の負担をかなり増大させ、また、Aの救済を1年も遅らせた責任は重大である。

(弁護士 金岡)