当たり前だが裁判所にも休み時間はある。正午から午後1時は、職員の休憩時間であり、開廷されることはない(ずれ込むことはある)。

しかし先日、開廷時間が正午からと指定される珍しい刑事法廷を経験した。
経緯はこうである。前日、来るはずの検察官証人が来なかった。検察官は全部撤回すると述べたが、弁護人も引き出したい事実関係があったので反対した。結果、勾引するとなったが、翌日は午後1時から検察側の情状関係立証が予定されており(弁護人は無罪主張)、情状証人を先に調べることは罷り成らんとなると(検察官は「何の問題もない」と発言していたが、勿論、刑訴規則に反する)、正午から証人尋問、終わり次第情状関係立証とせざるを得なかったのだ。

弁護人として、情状関係立証をできる限り区別させる手続の遵守を求めることは当然である。まさか正午開廷などという離れ業が実現するとは思っていなかったが、裁判所もここではなかなか気概を見せた。手続の監視者として、双方、面目躍如であると言えよう(検察官にはがっかりした)。

(弁護士 金岡)