本年12月26日、「三重県警捜査3課の男性警部補が本年4月ころ、裁判所の令状を得ずに、窃盗事件の容疑者車両に個人で購入したGPS端末を設置していた」という事件が報じられた。3月の大法廷判決から、事実上、GPS捜査が不可能となっていたため、違法捜査が敢行された!と話題になったわけである。
これが本当に個人的なのか、それは今後の解明に委ねられることだろう(くだんの警部補が超能力じみた追跡能力を発揮していたというのも俄には頷けない。少なくとも警察組織の一部は共有していたと考えた方が自然ではないかと個人的には思う。)。
ところで、たまたま、この事件を担当している弁護人と面識があり、話を伺うことが出来たのだが、それによると、この端末は、端末が特定できないよう、複数箇所のシリアルナンバーが全て削り取られる念の入れようだったとのことである。
かつて私が担当していた案件では、端末シリアルナンバーから契約者が判明し、それが愛知県警の警察官であったことが特定できた。警察側では、このように発覚するということまで知恵がついたのだろう。シリアルナンバーを削り、事と次第ではしらばっくれられるように手を回していたと言うことである。
どっちが犯罪者?と思いたくなるが、別に驚く程でもない。それが刑事弁護人の現場感覚だと思う。
(弁護士 金岡)