被告人控訴の刑事控訴審を受任し、「原審の法令解釈は判例の理解を誤っていることについて、研究者の意見を翌月末までに作成予定であるから、控訴趣意書期限は翌々月中旬を目処に」と要望したが、「翌月中旬にします」とあしらわれた。
また、同じく被告人控訴の事件で、「薬物依存の点について弁護側の立証を梃子入れするので、(控訴趣意書期限は受任前に決まってしまっていたが)準備期間を考えて月下旬に第1回期日を」と要望したが、「同月中旬」という打診が届いた。

何れも近時の名古屋高裁刑事部の訴訟指揮である。

これに対し、検察官控訴の事案は、「検察官が控訴趣意書を提出する前から」第2回公判期日まで指定したい、という打診が来る。これも近時の名古屋高裁刑事部の訴訟指揮である。

偏向している、と思わずにはいられない。
検察官控訴の事案は、どういう主張が出るか判明する前から、続行期日=証拠調べに入ることを予定しているような訴訟指揮である。
これに対し、弁護人が具体的な弁護活動を挙げて時間を求めても、一切無視。
検察官控訴は「よくよくのこと」という予断を持ち、弁護人控訴については「とりあうまでもないよね」という予断を持っている。
そうでなければ、ここまでの偏りは説明できないだろう。

(弁護士 金岡)