本欄本年2月17日「再審情願に新たな動き・・」で報告した、入管の「1年ルール」。
適用条件は依然として不明であるが、退令発付処分が確定している事案で、従来なら再審情願+在特義務付け訴訟でしのぎを削るべき事案について、「たぶん1年で戻れるから」という事実上の合意に基づき「帰国前に呼び寄せ手続を予め了する」特殊な枠組みにより、1年で在留資格を与え再入国させるというものである。
適用条件はおそらく、
1.長期滞在可能な在留資格に相当する実体があること
・典型的には日本人配偶者。
・同居を伴う法律婚が1年以上は必要(?)
2.子どもなし
・少なくとも日本に残る側に預けていけることが条件なのだろうか。
3.1年以内に関係が切れそうな状態がないこと
・残る側に税金滞納がなく、1年で数回渡航可能な程度の収入の余裕がある程度。
4.有罪判決がないこと(?)
・有罪判決事案を一律除外するとは思われないが・・。
あたりだろうか。個人では満遍なく経験することが不可能であり事例の集積が待たれる。
先日、当事務所1号の方が無事、再入国した。
きっかり1年だったそうである。
元永住者が日配1年になったそうだが、実害はあるまい。
名古屋地・高裁がほぼ全面的に肯定している義務付け訴訟類型を粘り強く推し進めてきたことが「1年ルール」に繋がった・・のかも知れないし(現状に見合った救済を求める義務づけ訴訟の動機付けを奪うため・・というのは穿ちすぎだろうか)、オリンピックに向けて不法滞在者を減らすためなのかも知れないし、制度化までの議論過程は不明だが(再審情願にせよ「1年ルール」にせよ、とにかくよほど、法律ではなく裏でこそこそとやるのがお好きなようだ)、家族的結合が保たれたなら何よりである。
(弁護士 金岡)