解錠時期問題については、衝立方式と傍聴人出し入れ方式がある。裁判所は拘置所との関係で傍聴人出し入れ方式の方がやりやすいのかもしれないが(但し管見する限り、拘置所は裁判所が衝立方式にするといえば文句は言わない)、傍聴人出し入れ方式だと、「バーの内側」の関係者に晒されるという問題は残る。

解錠時期問題を支える二本柱のうちの、無罪推定との関係でいえば、裁判所もそのような姿を目にするべきではないのだから、衝立方式が明らかに優るが、それは今回の本題ではなく、ここでは、被害者参加人、証人の関係を取り上げる。

例えば傍聴席との遮へいが必要な証人の場合、傍聴人を入れる前に遮へい措置を行い証人を入廷させる。その時期が被告人の入廷より前だと、被告人が証人に晒される。二本柱のうちの尊厳の点からして、これは受け入れられない。退廷時も然りで、傍聴人に加えて証人にも退廷して貰わなければ同じ事態に陥る。
被害者参加人との関係でも同じことが言える。検察官と被害者参加人が一緒に入廷するような場合、被告人がその後に入廷すれば晒される、となる。
その結果、傍聴人出し入れ方式では、被害者参加人と(特に遮へいを要する)証人と被告人との動線がごちゃごちゃして、非常にやりづらいと言うことが、このほどの経験から良く分かった。
休廷中に被告人と構内接見がしたい、それなのに証人がなかなか動かない(遮へいを要するような証人の場合、裁判所職員のお迎えがないと退廷できない)、被害者参加人も動かない、従って(傍聴人はいなくなっているのに)被告人も動けないまま5分が過ぎる、というような膠着状態が生じたりする。

傍聴人出し入れ方式には、裁判所の職員配置上の問題や、傍聴人に手間をかけさせるという問題もある上に、上記のような欠陥もある。
衝立方式にすれば、書記官がちょいと衝立を動かす程度で足りる(常設しておいても良い)上に、傍聴人の手間も、「バーの内側」の動線の問題もおきない。
繰り返しになるのだが、鍵をかけてしまえば滅多なことは起きないのだから、被告人の入廷口に衝立を置けば済むことなのに、と思う。勿論、そちら方面に二重扉を設置して複数の施錠をしたければ御自由にどうぞなのだが(そうすれば入廷前に、いわばお着替え部屋が用意されるようなものだろう)、ともあれ、指先一つとはいわないまでもそれに近い容易さで実現できる話が膠着するというのは不可解であり、傍聴人出し入れ方式の欠陥も十分に分かったところで、衝立方式を主として論じていくべきだろう(勿論、特段の配慮を要する事案ではない等という馬鹿げたことを真顔でいう(上に言いなりの)裁判官には徹底した矯正教化が必要である)。

(弁護士 金岡)