先日、「なろうとする者」の理解について一文を掲載したが、狙いしましたかのように、未決拘禁者からの法律相談が舞い込んだ。
例えて言うなら、「殴られたので殴り返したところ、起訴され、民事の賠償訴訟を起こされた」のように、民事の法律相談ではあるが、起訴された刑事事件に触れざるを得ない状況の法律相談である。

とはいえ、刑事弁護を打診されているわけではないし、状況から、刑事弁護を引き受けるつもりもない、この場合、幾ら刑事事件の話題が出てしまうとはいえ、「なろうとする者」に該当しないことは当然である。

そこで拘置所には、90分・無立会を求めた。無立会というのは、つまり、刑事事件の話題が出る以上は拘置所職員が立ち会うべきではないということである。処遇関係や国賠関係を除く一般民事では、なかなか無立会にはならないのが実情だが、言っていかなければ始まらないし、よくよく考えると立ち会う理由もないと思われた。

事前に申し入れたところ、拘置所からの返答の電話で、「一般面会である以上、原則通り、立会・30分になるが、・・・刑事事件の話題が出るなら『なろうとする者』でやってはどうか」と水を向けられた。国賠になれば、弁護士が秘密交通権を濫用した事例は数多いなどと平然と出鱈目を主張する拘置所から、秘密交通権の悪用をお勧め頂くとは、世も末だと思ったが・・・翌日、窓口にて一般面会を申し込んだところ、再度、「なろうとする者で良くないですか」と確認された。
やれやれである。初心者なら、そういうものか、と、乗ってしまう危険すらある。

結局、40分の一般面会(立会付)での相談となった。
一般面会室にはかなりの空きがあったように見えたし、弁護士側の接見室も全て空室(私が午後一番乗りで後続がいなかった)で、40分しか認めない理由というのも、見当がつかないところである。「混んできたので、あと20分で終わりにします」みたいな柔軟な運用ができないとも思われない。

(弁護士 金岡)