全く異なる2つの事案で、同じ裁判体に、相次いで勾留延長準抗告を棄却された(まるまる10日延長)。問題はその理由であるが、

A事件:
一件記録により認められる本件の内容、本件事案の重大性、被疑者と共犯者・事件関係者らとの関係、被疑者及び共犯者の供述状況、被疑者の身上等に照らせば、勾留の理由及び必要性が認められる。
また、上記の事情によると、本件事案の真相を解明して被疑者について適正な処分を行うためには、勾留中に得られた証拠等を踏まえ、更に多数の参考人ないし関係人の取調べを行うとともに、犯行態様や共謀状況等に関して、共犯者を取り調べる必要があり、これらの捜査のためにはなお相当の日数を要すると認められる。

B事件:
一件記録により認められる本件の内容、本件事案の重大性、被疑者と共犯者との関係、被疑者及び共犯者の供述状況、被疑者の身上等に照らせば、勾留の理由及び必要性が認められる。
また、上記の事情によると、本件事案の真相を解明して被疑者について適正な処分を行うためには、本件逮捕後に押収した証拠物の解析・精査を行い、それを踏まえて、犯行態様や共謀状況等に関して、共犯者及び被疑者をを取り調べる必要があり、これらの捜査のためにはなお相当の日数を要すると認められる。

というものである(何れも板津裁判長ら)。

間違い探しに出題して良いほど、そっくりな決定である。
全然異なる事案で「本当にあと10日がやむを得ないか」(せめて3日5日、8日でもよくはないか)を真剣に考えた場合に、間違い探しに出題して良いほど、そっくりな決定になるだろうか?
また、裁判理由は畢竟、判断を透明化し、不服申立ての便宜を与えるために必要なものであるが(行政処分の理由に関しては、そのように位置付けられている。況んや裁判理由をや、である)、互いに異なる事案で、間違い探しに出題して良いほど、そっくりな理由を示されて、判断を透明化したことになるのか、不服申し立ての便宜を与えたことになるのか、全く以て疑問である(なんなら、決定が取り違えられても疑問に思わない程なのだから、そうなるはずがない)。

結論、不真面目、の一言に尽きる。大方、「棄却テンプレート」が用意されており、何時間かをかけて、「参考人」とするか「関係者と参考人」とするか、「多数」とつけるか、等の字句修正を、真面目に議論されているのだろう。時に夜半まで電話に神経を尖らせているのが馬鹿らしくなる。

(弁護士 金岡)