端役で登場させて頂いた御縁もあり、こちらも紹介しておきたい。

朝日新聞本年12月5日朝刊に、「よりそい弁護士 広がるか」という記事が掲載された。仮出所から直ちに生活保護につなげる活動を(従来は手弁当だったが)愛知県弁護士会が公的に支援した、という事例が紹介され(相談1万、支援活動4時間以内1万円、4時間以上2万円、償還不要)、年間50件内外の実績を誇る。名古屋矯正管区も好意的だという。

兵庫で始まり、札幌が続き、更に全国都市部でも開始に向けた議論が進められているとのこと。
選択肢の多様化は刑事司法全体を活性化させるに相違ない。もともと「短期実刑しかない」ような裁判をさせられては、裁判官も腕のふるいようがない場合もあるだろう。実刑が避けがたいとしても、出所後の生活の青写真を描き、よりそい弁護士を予約して、裁判や服役に臨むのであれば、また違った展開も期待できるはずだ。

記事中で取り上げられた本欄は、本年5月11日「「よりそい弁護士」に言及した裁判例」のことである。手弁当を強制することは出来ないが、弁護士会から手当が出る以上は、手弁当を強いられることへの拒絶を以て行わない理由とすることは難しかろう。弁護士会は、被収容者に本件制度を告知し、被収容者が自身の弁護人(多くは国選弁護人だろう)に制度利用を相談できるよう、配慮すべきである。

(弁護士 金岡)